日本郵便グループは5月1日、セイノーグループとの業務提携に関する基本合意書を締結した。5月9日には共同記者会見を行った。両グループは24年2~3月にかけ、幹線輸送の共同運行のトライアルを実施していた。今後は、定常的に共同運行する状態にすることを、一つの大きな目標としつつ、物流課題の解決に取り組むとしている。業務提携の狙いや今後の展開について、日本郵便の郵便・物流ネットワーク部の仲谷重則部長に話を聞いた。
トライアルでは第1段階として、双方の施設や輸送車両の確認を実施した。第2段階では、共同運行を行う上での課題について双方の輸送方法に近い状態で検証を行った。セイノーグループは企業間物流をメインに行う一方、当社では、BtoCやCtoCの荷物を扱っている。異なる輸送環境にあるため、トライアルによる検証は欠かせないと考えている。
例えば、土日の幹線便を運休にしたり、本数を減らしたりしている。たとえ荷物が少なくても、運ばなければいけない。そういった、曜日や時期によって生じる物量の違いにも対応できる点は、大きなメリットだと考えている。
共同輸送を行うことにより、両社の積載率は向上していくだろう。目標のパーセンテージについては、今後設定していく予定だ。
当社では、トラックへ積み込む際に、「ロールボックスパレット」を使用している。一方、セイノーグループでは、そのまま直接積んでいるため、荷物の積み方が異なっていた。そういった作業の違いがある中で、支障がないかを確認していくことも、トライアルの目的となっている。
2~3月のトライアルは東京~大阪間など、五つの区間で行った。同じ県内であっても拠点間の距離が遠かったり、遠回りになってしまうルートがあったりと、効率が悪くなってしまう区間もあった。そういった区間は除外し、まずは2区間で定常的に運行する予定だ。4月にもトライアルを行い問題がなかった、福井~埼玉間や、青森~埼玉間でも、運行を予定している。
今はまだトライアルなので、ある程度決まった物量で行っている。今後は時期によって物量も変わってくるため、混載するにあたっての調整も必要になってくるだろう。まずは1年後までに、現状の区間や、追加の区間で、常態的に運行している状態にしていきたい。
幹線輸送の取り組みに関しては、2社だけで進めていくとは考えていない。他の物流事業者にも、間口を広げていこうと考えている。
物流事業者によって、強い地域と弱い地域はあるだろう。行きの荷物はあるが、帰りの荷物がなく、積載率が下がってしまうケースもあるかもしれない。今回の業務提携だけでなく、多くの物流事業者と力を合わせることで、物流課題の解決につなげていきたい。