2024年3月期は売上高、利益のいずれも前期を下回った。通販事業の中で売上規模の大きいアパレル・雑貨事業は円安の影響などで原材料や資材価格が高騰し、仕入れ単価が上昇した。収益性を確保することを優先し、商品価格の見直しや紙媒体の発行を抑制した。その結果、新規獲得数や稼働顧客数が減少した。
「データベース活用事業の封入・同梱サービスは、新規クライアントの獲得や新しいサービス展開が順調に推移した。紙媒体の発行数の抑制や出荷件数の減少により、増収減益となった」(安野雄一朗専務)と説明する。
増収増益となったプロパティ・ホテル事業は、既存ホテルの稼働率や客室単価が改善した。新規ホテルが稼働して通期で業績に寄与したこともプラスとなった。
専門通販を伸ばす
今後の将来像を概念としてまとめた新たな成長概念図を発表した。
▲新たな事業グルーピング
サステナブル領域にアパレル・雑貨事業、呉服関連事業、などを分類し、グロース領域にプロパティ・ホテル事業、専門通販事業を分類した。各事業の意義や志が分かりやすいように区分けしたという。
「ベルーナ=総合通販企業という認識を変えていくための新しいチャレンジだ。総合カタログの売り上げは国内最大手といってもいい規模になった。カタログ通販は高齢化・過疎化を支える消費インフラとして社会的価値の高い事業だ。継続性や収益効率の最大化を主眼にサステナブル領域として運営する。グロース領域の利益はかなり伸びており、全体の7割を占める規模になっている。今後も事業や収益性の拡大を図る」(安野専務)と話す。
専門通販事業の中核を占める化粧品・健康食品事業は成長を加速させたい考えだ。
▲安野雄一朗専務
「化粧品は海外戦略を強化する。今、海外で35億円くらい売っている。簡単ではないが中国やマレーシア、ベトナム、タイなどに展開したい。国内ではドラッグストアなどへの卸売りを拡充する。化粧品と健康食品で売り上げ200億円を目指そうと取り組んでいる」(安野社長)と話す。
グループ分けしたことで、それぞれの事業シナジーの創出を目指すかという質問には、「事業ごとのシナジーは期待しない。昔はシナジーもあったが、今はほとんどない。それぞれの事業が独立独歩で取り組む」(安野社長)と話した。