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2023.11.28

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サントリーウエルネス 沖中直人社長「優れた製品開発とDXで生活習慣の変化をサポート」【40周年記念インタビュー】

サントリーウエルネス 沖中直人社長



健康食品通販国内最大手のサントリーウエルネスは、年商1000億円を超えてもなお成長を続けている。沖中直人社長によると、「通販会社」としてではなく、「健康食品メーカー」として、顕在化していないニーズを捉えてブランド開発を行っている点が、成長が続く理由の一つになっているという。同社では現在、ウエルネス行動アプリ「Comado(コマド)」やポイント施策など、DXを活用した新サービスを続々と始めている。「優れた製品開発とDXで、お客さまの生活習慣を変えるサポートをしていく」と話す沖中社長に、サントリーウエルネスの製品開発やDXの施策について、聞いた。



 

本質的な製品で生活文化の創造を


――人気の高い「セサミンEX」などの健康食品はどのように開発しているのか?

まず当社は、「健康食品の通販会社」ではなく、本質的には「食品メーカー」だ。「通販」というチャネルで展開することで、お客さまに新たなサービスを企画・提供する機能も持っている。

製品開発においては、個々の製品を開発するだけではなく、ブランドを開発している。「個客原理主義」という徹底したお客さま目線に立ち、お客さまの気付いていない潜在ニーズを探り、ブランド開発のゴールを見定め、製品を開発している。

例えば、昨年発売したメンズスキンケアの「VARON(ヴァロン)」がある。それまでスキンケア市場では、女性向けの製品が中心だった。しかし、人口の半分は男性であり、ミドル・シニア世代の男性も消費の中心を担っている。ミドル・シニア世代の男性には、大きなニーズがあると考えてブランド開発を行った。

結果的に、その世代の多くの男性に受け入れられるブランドとなりつつある。

私はもともと、サントリーの飲料部門で、お茶の「伊右衛門(いえもん)」というブランドを手掛けていた。当時から、本質的な製品を作るべきだと考えていたし、現在も、製品を開発するだけでなく、生活文化そのものを作っていくべきだと考えている。

 

生活習慣を変えるDX


――「Comado」など新たなデジタルの施策に注力しているが、狙いは?

サントリーウエルネスの製品を定期購入してくれている既存のお客さまのロイヤルティーを高めるのが狙いだ。「Comado」のアプリを使って、無料でフィットネスを体験してもらったり、万歩計の機能を使ってもらったりする。それによって、お客さまの生活習慣を変えていくサポートをしている。

はっきり言えば、健康食品を飲むだけでなく、生活習慣を変えなければ、ウエルネスな状態になることは難しいと考えている。

お客さま一人一人の生活習慣を変えることを本質的に考えた場合、製品を提供するだけではなく、デジタルを活用することが必要だと考えた。アプリを使って生活習慣を記録することもできる。健康情報を無料で読むことも可能だ。

今年9月からは、新たなポイント制度も始めた。新たなポイント制度では、製品を購入してポイントがたまるのはもちろん、ちょっとした健康行動をアプリに記録したり、オンラインイベントに参加したりするだけで、ポイントがたまるようにしている。ポイントを使って、製品を購入することもできる。

こうしたデジタルの施策から、多様なシニア世代のお客さまのデータを収集・活用していくことを考えている。データから、お客さまの潜在ニーズの解像度を高め、新たな製品やサービスの開発に役立てていきたい。

 

人生100年時代を輝かせる


――全国のサッカークラブと高齢者施設を巻き込んだ取り組み「Be supporters!(ビーサポ)」が拡大している。目的は?

「ビーサポ」は、当社が主導してはいるものの、健康食品ビジネスとは切り離して実施しているプロジェクトという位置づけだ。全国の高齢者施設の利用者に参加してもらい、地元のサッカークラブを応援してもらうことにより、普段の生活を元気に過ごす理由を作ってもらうという目的がある。

サントリーグループの経営理念に、「利益三分主義」というものがある。企業として得た利益は社会に貢献するために使っていく」という考えだ。創業期から掲げている理念であり、「ビーサポ」もその理念を形にしたものだ。

私が、このプロジェクトを始めようという思いを強めたきっかけは、当社のコンタクトセンタ―で、あるお客さまとのやり取りについて聞いた時だった。

脳に必要な栄養素を補うサプリメント「オメガエイド」を定期購入しているお客さまが、「定期購入を解約したい」と連絡してくれた。

そのお客さまは、「自分の兄弟が認知症の状態にあったため、愛飲していたが、医者から認知症だと診断されてしまった。とても悔しいが、今までありがとう」というお話を、1時間近く、担当者にしてくれた。担当者から、「『このお客さまとここで縁が切れてしまって本当にいいのか』と思った」という話が胸に刺さった。

今後、80代の人口はもっと増えていき、認知症の患者の数ももっと増えていくだろう。人生100年時代の色合いがさらに濃くなる。そんな時代に向き合う活動を企画したいと考えたのが、「ビーサポ」の始まりだった。

医学の進歩で、平均寿命は延伸しているが、誰もが最後まで健康でいられるわけではない。そのことを不安に思っている人もいる。

世の中の一人一人の生き方を輝かせるために、当社として、「ビーサポ」の取り組みや製品開発、DXを推進していきたい。




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