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2024.06.24

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日本生活協同組合連合会、2024年3月期 宅配事業が前期比0.1%増 人材不足が宅配事業に影響

2023年度 宅配事業前年比

日本生活協同組合連合会(本部東京都、土屋敏夫会長)の2024年3月期における宅配事業供給高(売上高)は、物価高で利用単価が上昇した一方で、利用者数と購入点数が減少したため、前期比0.1%増の2兆926億円と前年並みになった。
 
宅配事業の利用単価は前期比3.0%増、利用人数は同2.6%減、利用点数は同3.8%減となった。深刻な人材不足に伴い、業務委託先の事業者の欠員率が上昇した。業務の標準化をはじめ、配送の効率化などコスト構造の改革を進めた。

6月18日に記者会見した藤井喜継専務は宅配事業について「新規組合員の獲得については現場の人員不足に加え、コロナ禍で組合員拡大を中断していたことで営業力が低下した。ネットスーパーなど競合で宅配事業が苦戦したという認識はない」と話した。若年層の開拓については「生協に関心のある層にどうアプローチしていくかが課題だ。成功事例はまだ少ないが積極的に取り組んでいきたい」と話した。新規組合員獲得については「どこの生協も悩んでいる。配送員の欠員があり、配達で精いっぱいというのが現状だ」と話した。


▲あいさつする土屋敏夫会長
 
「DX-CO・OPプロジェクト」は注文予測レコメンドやレシピからの注文などの機能を付加する。カタログの利用者配布や配達コースの最適化を進めることで事業の最適化とコスト削減を進めてサービス品質の向上を目指す。

7月からは、組合員の新たなつながりを支援するツール「コープリンク」を始める。まずはコープみらいを皮切りに、みやぎ生協とコープぎふで始める。組合員活動のデジタル化と見える化を進める。
 
全国の生協で展開する夕食宅配サービスについては、高齢者などを対象にした週1回の配食サービスを通じて見守り活動を行っている。2024年3月期の利用者数は16万4867人に拡大した。
 
通販事業「くらしと生協」では、約7割がゴミとして処分される衣類をそのまま使えるリユースと、リユースできなかった衣類をリサイクルする取り組みを実施した。2024年3月期における通販関連の供給高(売上高)は、カタログ事業が前期比5.5%減の507億円、ギフト事業は同4.4%減の33億円だった。衣類品は順調だったものの、家具など単価の高い商品の販売が振るわなかった。

記者会見した土屋敏夫会長は「物価高で組合員の暮らしは厳しさを増している。人材不足などの課題がある中で、生協は事業継続に向けて地域とともに取り組んでいきたい」と話した。

【日本生活協同組合連合会 藤井喜継専務 <一問一答>】 職員のスキルアップ必要


──組合員拡大については。

生協はドアツードアで接点を広げていくのが基本だが、コロナ禍で営業活動を行ってこなかったため、スキルを持った職員が少なくなっている。このスキルを再度上げていく必要がある。

──生協では「総合力」という表現をしている。

オンラインに加えて、店舗を利用する組合員に、重い物などを宅配で利用してもらう取り組みを行っている。

子育て層へは、食品や日用品を詰め込んだ「はじめてばこ」を通じてサポートすることで接点を作っている。




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