大麻取締法などの改正案が11月14日の衆院本会議で可決され、衆院を通過した。今国会での成立が見込まれている。改正案では、大麻草から抽出した成分を含む医薬品が使用できるようになり、使用罪も適用されるようになる。CBDを原料にした製品を販売するC&Hの岩間洸汰社長は、今回の法改正に伴い、CBD製品の価格が下落し、CBD市場が活性化するとみているようだ。岩間社長と、R&Dグループカンナビノイド研究チームの平野弘樹氏に、法改正の影響について話を聞いた。
市場価格の下落に期待
――法改正によってCBDの流通にどんな影響があると考えているか。
岩間 今回の法改正により、CBD関連製品の市場は活性化すると考えている。
今回の法改正では主に、(1)大麻草を原料にした医薬品の国内での使用を認める(2)繊維や種子の採取や、今は研究のみに認められている、大麻草の栽培を、医薬品などの原料として採取する目的でも認める(3)大麻草の葉や花穂から抽出した成分の使用をNGとする「部位規制」から、向精神作用のある「THC」を規制する「成分規制」に改める─という規定が盛り込まれている。
▲岩間洸汰社長
これまでの部位規制では、CBD原料を海外から輸入する際、「茎や種子から抽出したものである」という証明が必要だった。
海外では日本のように、部位規制をしている国はほとんどない。そのため、証明書を用意していないCBDメーカーも多かった。
成分規制になることにより、これまでのような証明書が不要になる。そのため輸入のハードルが大きく下がると考えている。
CBDは、葉に多く含まれている。これまで部位規制の対象外だった、茎や種子からは、ごくわずかのCBDしか抽出できない。そのため、抽出量を増やすためには、多くの茎や種子を使う必要があり、異物や不純物が混入する可能性も高くなっていた。
部位規制が撤廃されれば、これまでより安い価格でCBDを抽出できるようになる。原料価格が下がるのはもちろんのこと、安全性が高まるという利点も考えられる。
認知度向上にも期待
――成分規制以外にもメリットはあるか。
平野 医療用大麻が解禁されることにより、医療目的のCBDの研究が活発していくと考えている。
▲研究員の平野弘樹氏
医療現場でCBDの医薬品が利用されるようになれば、一般の認知度も高まる。CBDのメリットを、より多くの人に知ってもらえるようになるのではないか。
現在だと、海外でCBD医薬品のメリットを体感した患者が、国内でCBD医薬品を使用することができない。そのため、嗜好品のCBD製品で代用しているケースも多い。そういった人たちが、医療用大麻を適切に使用できるようになれば、市場で受け入れられやすくなっていくのではないか。
悪質な合成品に注意
――HHCH配合の大麻グミの報道について、影響はあったか。
岩間 当社の製品は、自社の分析機や第三者機関でのチェックを実施。徹底して安全性の高い製品を販売している。顧客に向けてもそうした情報を発信しているため、「大麻グミ騒動」で直接的な影響はなかった。
ただ、心配した、何人かの顧客から、問い合わせをいただくケースはあった。
騒動にあった「HHCH」という化合物は合成品で、規制されている「THC」よりも強い作用を持っている。いわゆる「改造THC」で、自然の大麻から抽出されるものでない。
今回の騒動を通じて、大麻への偏見が強まらないことを祈っている。