1日で4億円売り上げ
—―引き続きテレビショッピングのQVCジャパンでの販売が好調だと聞いた。QVCジャパンでの売り上げは、2023年が前年比で22%増加した。2024年は、1~4月で、77%増加した。2月には、QVCジャパンのセールイベント「TSV」にて、主力の美容成分配合のファンデーション「エステファクト ジュエリーパクト」を、1日で13万個を販売した。金額としては3億8000万円を売り上げ、午前中に完売した。在庫さえあれば、5億円を売り上げていたと考えている。
爆発的に売れたのは、「たかの友梨」の商品を楽しみにしてくれているお客さまがいるからだと考えている。お客さまは、新しい商品が出るのをとても楽しみにしてくれている。
2月に大きく売れた要因としては、「ジュエリーパクト」のパッケージを、従来のピンクから白に変更し限定感を煽ったことがある。8月には、パッケージを今度はブルーに変更し、中身も、ビタミンⅭの配合量を増やして再発売する。
ヒット商品続々登場
—―他の新商品についても聞きたい。
5月には、医薬部外品(シワ改善・美白・肌荒れ防止)シリーズ「エステファクト リンクルホワイトセラムスティック」「リンクル立地マスク」をQVCで発売した。「リンクルホワイトセラムスティック」は、シワにダイレクトに塗ると、シワの溝を自然と埋めるという設計の製品となっている。
今、シワ改善を訴求する薬用化粧品を、各メーカーがこぞって発売し、人気となっている。各社が配合している成分の多くは、「ナイアシンアミド」だ。
当社は、ナイアシンアミドに加えて、NCPAという成分も配合している。NCPAは原価が高いが、多機能エイジングケア成分として注目の成分だ。
6月には、オールインワンジェルの「3DパーフェクトジェルEX」を発売した。大人気の3Dパーフェクタージェルと夏に人気のホワイトジェルの良いとこどりをしたジェルだ。
これから注力したいのは、ヒト臍帯(さいたい)血幹細胞由来美容液「スーパーセルセラム」だ。エステサロン「たかの友梨ビューティクリニック」で販売しているものをベースに開発した。一本当たり税込9800円というリーズナブルな価格を実現している。QVCでは深夜1時に放送した番組で、1時間で3000万円以上も売り上げた。通常は1万2600円(税込)するスプレーガンをセットにした商品は、QVCジャパン限定で、1万6998円で販売している。
広告予算を消費開発へ
――物価の高騰で、資材価格や原料価格が値上がりしているが、利益面での懸念はないか。
正直なところ、原価率は高まっており、利益は厳しいところがあるのは事実だ。工夫しながら、製品価格は抑え、手に取りやすい価格を継続している。
今までは、通販の広告費として年間数十億円を投資してきた。これを減らし、商品にかける予算を増やした。テレビショッピングなどを通じて、「たかの友梨」のブランドとサロンのクオリティーの製品として認知を拡大すれば、いずれサロンに来店していただくきっかけになると考えている。一度当社の製品を使ってもらえれば、満足のいくクオリティーになっていると自負している。
─2024年9月期のスイスセルラボ・ジャパンの業績予想を聞きたい。
今のところ、前期比で15%増収する見込みだ。QVCジャパンでの売り上げは、25億円から35億円に増加するとみている。自社ECサイトの通販も、QVCジャパンの受け皿として機能しており、利用率は高まっている。
「たかの友梨ビューティクリニック」を運営している不二ビューティのグループとしては、サロンのお客さまを最も大切にしたい。自社の通販で獲得したお客さまを、エステサロンに取り込んでいく戦略も立てている。
曲げない「エステ品質」
—―エステサロンの運営状況はどうか?
アフターコロナで集客できているという側面もあるが、現在は、ロイヤルティーの高い顧客を残していくことに注力している。
これまで、新規集客を強化する路線だったが、「スーパーセル」のような高価格帯の製品を購入してくれるLTVの高いお客さまを増やしていきたい。現在のところ、全てのお客さまの内約7割が、固定客として残ってくれている。
エステサロンのお客さまは、「たかの友梨」を長年に渡り、愛してくれているお客さまが多い。高齢でサロンに通えなくなっても、化粧品は購入を続けてくれる人もいる。
社員の継続勤務期間も伸び続けている。現在、エステティシャンの平均継続勤務年数は、8年2カ月となっている。
今後も、お客さま、商品、社員を大切にしていきたい。「エステクオリティー」のビジョンを曲げず、生涯をかけてお客さまに良い商品を提供してきたい。
【記者の目】
QVCを主体に展開するスイスセルラボ・ジャパンは、QVC・自社通販・エステと、それぞれのチャネルでの顧客のアプローチ方法を、明確に分けている。QVCでは、お得に「たかの友梨」ブランドの商品をお得に変えるように展開している。自社通販を利用し、「たかの友梨」ブランドのファンになる顧客には、エステサロンへと誘導する施策を展開している。
ブランド力だけに頼らない細やかなマーケティング力が垣間見える。