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2024.07.02

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【通販化粧品 専門家インタビュー】フォー・レディー 鯉渕登志子社長「マルチチャネル化進め総力戦を」

化粧品通販ビジネスのトータルサポートを行うフォー・レディー(本社東京都)の鯉渕登志子社長に、化粧品通販市場の景況感や、今後の事業者の中長期的な成長に必要な戦略について話を聞いた。


――2024年の化粧品の通販・ECの市場をどう見ているか?
化粧品通販市場は、全体的に伸び悩んでいるという印象だ。

例えば、ウェブ広告の獲得効率が悪化している。悪化には、法整備が進んだことなども関係している。さまざまな規制強化や自主規制も含めて、タイミングが重なったようだ。

特に、新規中心のビジネスモデルで展開してきた事業者はかなり苦労しているようだ。有名人を起用したプロモーションも、一時的に新規顧客を獲得できたとしても、定着させることが難しく、すぐに離脱も多くなってしまいがちという課題がある。

各社のM&Aも活発化している。しかし、M&Aをしても、従来の通販事業のノウハウや知見を生かした展開が引き継がれていない場合、たちゆかなくなるブランドが少なくない。

その上、消費者は、ウェブ検索などで、容易に大量の情報にアプローチできる。お客さまの検索能力も高まっており、美容リテラシーも高まり続けている。

一方コロナ禍でECへの新規参入が増えており、レッドオーシャン化し、無数に競争相手がいる。

小さな成功事例は多数あるが、大幅な成長は難しく、全体的に混迷状態にあるとも言えるだろう。

各社は、苦しい戦いを強いられている。


あらゆる手法に挑戦


――今後、化粧品の通販事業者には、どのような戦略や取り組みが必要か?

”なんでもやっていく”に尽きる。

当社の結論としては、通販事業専業ではなく、リアルの販路を含め、あらゆる手法に挑戦していくことが、今後の化粧品通販事業者にとって、必要不可欠な生存戦略になると考えている。

通販事業のビジネスモデルに関しても、今までは、定期便に誘導して、自社直営の公式ECサイトで購入してもらう手法を取っていた事業者が多かった。しかし、今や「公式ECサイトで購入しない」どころか、「通販・ECを使って購入しない」というマーケットの傾向さえ出てきている。

消費者は、それぞれが気に入っている方法で購入できる。どこで購入するかは、顧客の選択肢次第だ。

そういった市場環境の中では、通販事業だけにとらわれるべきではない。リアルでの展開を含め、さまざまな接点を用意し総力戦で挑むことが、より重要になってくる。訪販業態のように、事業者がロイヤル顧客を訪問するといったアプローチを行うこともあるだろう。

米国の調査によると、EC・店舗の「どちらか」の展開しかしていないブランドのLTVよりも、「どちらも」展開しているブランドのLTVの方が、2.5~3倍高くなる傾向があるという。顧客が、EC・リアルの「どちらも」体験することは、「ロイヤル顧客化」「ファン化」につながっていく。

「通販」「店販」などの業態を横断した展開を行い、「化粧品を売るブランド」としてお客さまに徹底して向き合っていくことが大切であると考えている。


大戦略を描く


経営者層には、「そもそも化粧品事業を展開して何がしたいのか?」という大戦略が必要である。 
大きな将来像を描き、その大戦略を念頭に置き、都度事業を修正していく組織づくりを行っていくことも欠かせない。

化粧品販売における、業態の格差は、中長期的に消失していくと考えている。

各社のマルチチャネル化がさらに進み、「ブランド格差」の時代に突入していくのではないか。「ブランド」を磨き上げる重要性がますます増していくだろう。

当社では、あらゆる業態の化粧品事業者のサポートをしてきた。今後の戦いに備え、強い化粧品ブランドを築き上げるための多角的な支援を行っていきたい。




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