CLOSE
CLOSE

2023.11.28

特集

テーマ特集

ジュピターショップチャンネル 小川吉宏社長「若者のテレビ離れが進む中、30代まで裾野を広げる」【40周年記念インタビュー】

ジュピターショップチャンネル 小川吉宏社長



テレビ通販業界もコロナ特需が終わり、現在”正念場”を迎えている企業が多い。”テレビ離れ”が進む中、各社はさまざまな手法で、将来への成長に向けた布石打ちに注力している。「ショップチャンネル」を運営するジュピターショップチャンネルは、顧客層を従来のメイン層である50代~60代だけでなく、30代~40代の比較的若い層へ広げている。小川吉宏社長に現在の状況と今後のテレビ通販業界の変遷などを聞いた。




”テレビ離れ”が進む


─テレビ通販業界の変遷について伺いたい。


これまでのテレビ通販業界は、テレビをよく見る時代は、それに伴ってテレビ通販の利用者も多かった。だが近年、”テレビ離れ”という言葉が出てきたように、若者はテレビを見る回数が減り、中高年齢層方の中にも、テレビを見る人が減っている。そうなると、テレビ通販の売り上げ確保が難しくなってくる側面がある。

コロナはテレビ通販業界に追い風となった。直近2~3年のテレビ通販業界はコロナ特需で、業績が好調に推移した企業が多い印象だ。コロナで在宅時間が増え、テレビを見る人が増加した。その結果、テレビ通販で商品を購入する人が増えた。

そして現在、コロナが5類に移行され、消費者のオフラインでの購買行動が戻ってきている。そうなると、コロナ特需でテレビを見ていた人が減少し、また多くの企業で厳しい戦いを強いられているのではないだろうか。テレビを見る人が減っているというよりも、コロナ前に戻ったという認識の方が近いのかもしれない。

─その中で貴社はどのような戦略を掲げているのか。売り上げも含めて伺いたい。

2023年3月期の売上高は、前期比1.2%減の1555億3800万円だった。一方で、営業利益は同7.0%増の190億5400万円、経常利益は同6.7%増の194億3600万円と増益を記録した。今期もここまで、売上高は好調に推移している。

今期の注力点は基本的には前期の取り組みの強化だ。主に商品に関しては、ファッション商品とファッション番組の強化、体験型商品の販売に注力している。ファッション番組は、ただ売れている商品を番組内で紹介するのではなく、面白い企画内容を展開している。前期は「時代のモードを再発見!」のような、80年代、90年代のさまざまなファッショントレンドを現代流に取り入れた商品などを紹介した。

今期も人気スタイリストを起用したブランドを超えた着こなしを提案する企画などを実行し、顧客に楽しんでもらうことを大事にしている。

体験型商品では、国内旅行やクルーズ旅行など、体験してもらえるチケットの販売も行っている。やはりコロナが空けた今思うことだが、最終的には「どれだけ顧客に楽しんでもらえるか」が鍵となる。このことが何よりも重要で、当社としてもここを突き詰めている。



ライブコマースに注力


─テレビ通販は10年後、今よりも業界として縮小するという見方もある。貴社はどう捉えているか。

確かにこのままの流れだと、5~10年後、今よりもテレビを見る人が増えるとは考えにくいし、40代の人が10年後、50代になったときに、テレビ通販でものを買うかということも懐疑的だ。

その意見も分かるが、個人的には、そこまでテレビの影響力と、テレビ通販の力が落ちるとは思っていない。5年後、10年後は未知数といえば未知数だが、テレビを見る人が全くいなくなるということはないだろう。そこまで影響力がなくなるとは考えにくい。

だからといって、何もしないというわけではない。そのような危機感は会社としても抱きつつも、当社としては顧客層の幅を広げていく。今まで「ショップチャンネル」ひいてはテレビ通販を利用したことのない人に向けて、認知拡大を図っている。

その一つの取り組みが、ライブコマース「コレイヨ」だ。インフルエンサーを活用し、ファッションのアイテムなどを紹介して、若者へ販路拡大を目指している。

インスタグラムを活用し、定期的にライブ配信を行っている。実際の手応えとしても、ライブコマースで寄せられるコメントを見ると、「ショップチャンネル」を知らない人が、ライブコマースに訪れて、会話をしてくれていると感じている。手応えも悪くない。事業としても段々と成長してきており、今後もこのライブコマース事業は注力していく計画だ。




無料メールマガジン登録 人気の記事や編集部のおすすめ記事を配信
登録することで、個人情報保護方針に同意したものとみなされます。

タグ:

おすすめの記事

PICK UP


人気の記事

RANKING

新聞のご紹介

日本流通産業新聞

詳細・購読はこちら