オールインワンジェル「メディプラスゲル」の通販を展開するメディプラス(本社東京都、内田恭平社長)は6月、独自成分「オゾン化グリセリン」を使った新商品を発売した。20万人以上のアクティブユーザーがいる「メディプラスゲル」のクロスセル商品として展開し、再成長の起爆剤としたい考えだ。昨年9月に社長に就任した内田氏に、新商品などについて聞いた。
20年のゲル美容が進化
──6月に「オゾン化グリセリン」配合の新製品を発売した。どのような製品か。
「UVミルキーゲル」「クレンジングミルク」「ウォッシュムース」の3品を、6月1日に発売した。いずれも、当社のグループが保有する、革新的な独自成分「オゾン化グリセリン」を配合している。
「オゾン化グリセリン」は、特許製法である「オゾネーション」によって、これまで保湿機能しかなかったグリセリンに、新しい機能を持たせた成分だ。生物や環境にも配慮したサステナブルな多機能性新規独自成分といえる。メディプラスゲルが従来持つ、乾燥予防の機能に加え、角層のバリア機能を強力にサポートする働きを期待できる。
昨今のお客さまは、美しいことだけでなく、「肌が健康であること」を求める傾向が強くなっている。
「オゾン化グリセリン」は2023年の春から、主力の「メディプラスゲル」に配合して販売している。「オゾン化グリセリン」を配合したことで、当社の提唱するゲル美容が大きくパワーアップした。
「オゾネーション」の働きは素晴らしい。文系出身の私でも、説明を受けて化学記号を見るとワクワクする。
お客さまの中には、「オゾン化グリセリン」のメリットを体感しているという人も少なくない。「オゾン化グリセリン」によって、「20年にわたるゲル美容のメディプラス」が進化を遂げた。
今回発売した3品は、「メディプラスゲル」と一緒に使ってもらいたいラインアップとなっている。「メディプラスゲル」を定期購入していただいている約20万人のアクティブなお客さまに対して、併売を推奨していく。今後も、当社が発売する製品には、コンスタントに「オゾン化グリセリン」を配合していく考えだ。
三つの成長基盤を整備
──内田氏がメディプラスの社長に就任して9ヵ月余りとなる。今後メディプラスで実現したいことは。
代表就任から約1年を経て、メディプラスの企業価値を上げることが私のミッションだと感じている。一過性の売り上げを追うのではなく、企業として成長し続ける基盤を作るべきだと認識している。
基盤を作るアプローチは三つあると考えている。
一つは、社内の体制や、社員の働き方といった制度の整備だ。
二つ目としては、ビジネスモデルを確立したいと考えている。単に「通販」というくくりではなく、われわれが持つ強みを生かして、時代に即したモデルを作りたい。
例えば、これまで「定期購入」というビジネスモデルを運営してきたが、近年では「サブスク」という言い方もする。「定期=サブスク」ではない。定期契約の入り口や仕組みを、時代に即して変えていく必要があるかもしれない。
併売の推奨をする商材も、「商品=モノ」ではなく、「サービス=コト」かもしれない。既成の概念や思想を捨てるところから始める必要があると思っている。
三つ目に「ブランディング」だ。コールセンターの会話(トークスクリプト)や、商品をお届けする発送箱など、お客さまに近いところから変えていく必要があると思っている。
──2024年8月期の業績予想について聞きたい。
現在、店頭販売やクリニック、ECモールでの販売が、前期比50%増のペースで伸びている。主力の通販を含めた全社売上高でいえば、前期比で約5%増収し、年商45億円程度に落ち着きそうだ。
今期は、テレビインフォマーシャルでの新規獲得が好調だ。前期比1.5~2倍伸びている。クリエーティブを精査し、出稿媒体を柔軟に変えたことも、新規獲得の拡大につながった理由だ。
CRMについては、正解がない。既存のお客さまには、F2転換率やLTVといった従来の指標(KPI)に加えて、新しい指標を加えることを考えている。新しい指標にのっとって、お客さまの満足度を高める、新たな施策を行っていきたい。
【記者の目】
アクティブユーザー20万人の「メディプラスゲル」。愛用者が定着している一方、「定期購入はしているがコミュニケーションはしない」ユーザーがいるのが課題だそうだ。「オゾン化グリセリン」がコミュニケーションのきっかけになるか、注目だ。