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2024.06.30

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【通販化粧品 トップインタビュー】キューサイ 佐伯澄社長「マルチチャネル化戦略加速し、顧客接点拡大」

化粧品や健康食品の通販を手掛けるキューサイ(本社福岡県、佐伯澄社長)は、マルチチャネル化戦略を加速している。これまで主要な販路としていたインフォマーシャルに加え、自社ECサイトや、ECモール、実店舗などにも、顧客接点を拡大させている。結果的に、若年層のユーザーの拡大にも寄与している。スキンケアブランド「コラリッチ」の美容ドリンクが爆発的な売れ行きを記録するなど、商品施策も成功しているようだ。佐伯社長にインタビューした。

 

美容ドリンクがヒット

――2023~2024年の通販事業の振り返りを聞きたい

2023年12月期は増収増益で着地した。売上高は254億円となり、約49%をスキンケア商品が占めた。2024年上半期についても、今のところ、増収増益で進捗している。中期経営計画の中で打ち立てた目標は実現している状況だ。

2023年は、マルチチャネル・マルチプロダクト化を進めた。主力の通販事業と並行する形で、店頭への卸を拡大した。

2023年は、タレントで美容家のIKKO氏を起用した短尺CMなどを放映したことなどが寄与し、主力のスキンケアブランド「コラリッチ」の売り上げが順調に推移した。

2023年3月に発売した、「コラリッチ」ブランド初となるドリンク「コラーゲンショット」が、爆発的な売り上げを記録した。2024年5月までに、累計145万本を出荷。ドラッグストアを中心に、ファミリーマートでも取り扱いを開始し、約8000店に配架している。通販では、新規顧客の獲得にも貢献している。既存顧客へのクロスセルも好調だ。楽天市場などのECモールでも売れ行きは順調だ。

健康食品では、主力の「ひざサポートコラーゲン」のPRに、フィギュアスケーターの浅田真央を起用した。ターゲット層の認知度は高く、PR効果はとても高かった。24年5月時点でも、浅田真央を使ったインフォマーシャルの効果は出ており、好調に推移している。

マルチチャネル化進む

――マルチチャネル化を進めているということだが、どのような効果が生まれているか。

お客さまとの接点を増やし、お客さまが利用しやすいチャネルに誘導するのがマルチチャネル化施策だ。

例えば、浅田真央さんをきっかけに「ひざサポートコラーゲン」を知ったお客さまには、インフォマーシャルや店頭、ECなど、お客さまにとって利便性の高い場所で、当社とコミュニケーションを取ってもらう。お客さまが利用しやすいようチャネルを整備しており、インフォマーシャルからECに誘導することもあれば、店頭からECに誘導する導線も設定している。インフォマーシャルから電話で購入してたお客さまに対しては、従来の定期購入を利用するよう促し、継続的なコミュニケーションをしてもらえるようにしている。当然だが、ECから定期購入できる仕組みも用意している。

ECモールのセールイベントに誘導する施策も展開している。デジタルリテラシーの高い、若年層のお客さまが、浅田真央選手をきっかけに当社の製品に興味を持ってくれて、ECモールのセールイベントで商品を購入してくれるケースも増えている。

大手韓国メーカーとタッグ


――「コラーゲンショット」のようにヒットしている化粧品はあるか。

4月に発売したコスメシリーズ「BIONIA(ビオニア)」が、当社が掲げている「ウェルエイジング」を体現していると考えている。

コラリッチブランドの新シリーズとして、IKKO氏が全面プロデュースした。メッシュファンデーション他2点を数量限定で発売したが、2カ月余りで完売した。メインターゲットは45~54歳に設定しており、当社と接点がなかった新規顧客の獲得にもつながった、

「ビオニア」は、韓国の大手化粧品メーカーのコスマックスと商品開発した。コスマックスは、世界の大手化粧品ブランドも手掛けており、これまでになかった発想をもたらしてくれると見込んだ。

「ビオニア」は、マイクロバイオーム(細菌叢)に着目した製品でウェルエイジングをかなえるというコンセプトだ。

 

――今後、化粧品の訴求においては、何が重要だと考えるか。

女性の気持ちに寄り添う共感性が、さらに重要になっていくと考えている。体験し価値を感じ、生活習慣にするという「共体験」をお客さまにしていただくことが重要だ。

お客さまは、商品やブランドを認知しても、購入しなくなってきている。

「コラリッチ」ブランドで考えると、ターゲットのミドル・シニア層の女性は、年齢とともに変わってきた肌に悩んでいる。「これまでと同じスキンケアでいいのか」「新しいスキンケアはこれでいいのか」という課題を持っている。

今後はオールインワンの機能性だけでなく、女性の肌悩みを根本解決できる「コラーゲン」の価値を再定義をしていきたい。

 

記者の目


オフライン通販・自社EC・ECモール・店頭卸などのマルチチャネル化に取り組むキューサイ。キューサイが現在構築している、ヘルスケア情報プラットフォームが完成すれば、それぞれのチャネルで集客した顧客と双方向のコミュニケーションが図れるようになる可能性がある。「青汁のキューサイ」が、20年代に入り、大きくモデルチェンジしてきている。

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