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2024.07.02

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【訪販化粧品トップインタビュー】シーボン 崎山一弘社長、年商100億円へ 顧客のロイヤル化進める

化粧品のサロン販売を手掛けるシーボンでは、中期経営計画の中で、2026年3月期の売上高として100億円を見込んでいる。アフターコロナとなった現在、新規顧客のサロンへの来店が増えつつあるという。そんななか同社では今後の方向性として、既存顧客のロイヤルティーの向上を掲げている。新規事業である、ヘアサロンの運営も好調だという。崎山一弘社長に、サロンの販売戦略について聞いた。



前期は新規集客が増加


──2024年3月期の業績を振り返ってほしい。

2024年3月期の直営店舗の売上高は、前期比横ばいの78億4600万円だった。大型イベントがコロナ禍前に戻りつつあり、さまざまな大規模イベントが復活し、イベント経由の集客が増加した。創業60周年に向けて始動した「60th Anniversaryプロジェクト」をもとに、新たなブランド動画も制作。イベント集客時に活用したり、Tver(ティーバー)などの媒体で配信したりした。その結果、ウェブからの集客も増加した。

ヨガ教室や着付け教室、自動車ディーラーとコラボレーションするなど、地域のコミュニティーとの取り組みも始まっている。その結果、新規顧客による売り上げは前期比で6・8%増加した。

当社のお客さまはこれまで、比較的シニア層の割合が多かった。現在は、さまざまな集客チャネルに着手した結果、若年層のお客さまも増加傾向にある。

─既存顧客のロイヤルティーを高める施策も実践している。成果は。

2024年3月期においては、サロン価値向上に注力し、既存のお客さまのロイヤルティーを高める戦略を強化した。2024年3月期の業績における成果としては、既存のお客さまの購入単価が前期比で1・7%増加した。

具体的には、都市部やターミナル店のサロンを中心に改装を進め、ロイヤルカスタマーの専用ブースも設置した。本社にも、ロイヤルカスタマー専用デスクを設け、担当スタッフが、お客さまとのつながりを強化に取り組んだ。サービスに関する意見や提案などをヒアリングすることで、サービスのパーソナライズが進み、お客さまの声を反映できる体制が整いつつある。

5月には、ロイヤルカスタマーを招待し、工場見学も実施した。工場見学には、想定を上回る多くのお客さまからの参加希望があり、参加されたお客さまの満足度も非常に高かった。現状、会員数全体に占めるロイヤルカスタマーの比率は約割程度だ。ロイヤルカスタマーの基準は年間購入金額としているが、今後は、継続年数が長いお客さまを対象にするなど、ロイヤルカスタマーの幅を広げていきたい。


新規事業の「イマトリ」

──2023年は店頭への卸販売やヘアサロン事業、海外事業も開始した。進捗を聞きたい。

小売店舗への卸事業については、バラエティーショップから開始した。今期は量販店やドラッグストアへの卸も拡大させていきたい。
 
「サロン発想のスキンケア製品」であるという特徴や価値の伝え方を工夫することによって、市場でのニーズを高めることはできると思う。
 
海外については、中国のパートナー企業と連携していたが、処理水問題で当初の計画とのずれが生じている。現在は、その他アジア地域の販路の開拓を行っている。
 
ヘア事業については、当社のヘアサロン「neaf(ニーフ)」の店舗を、東京の六本木、恵比寿に次いで、蒲田にもオープンした。新規事業である「イマトリ」は、業界初のヘアトリートメント専門店で、セルフレジやオートシャンプーを導入し、省人化を図ることで、1500円でヘアサロンと同等のトリートメントを受けられるというサービスを提供している。新しいヘアサロンの形態として、他の美容室との差別化を図っていきたい。
 
──今期はどんなことに注力していくか。
 
当社が中期経営計画で掲げているのは、「製品価値向上」」「ロンの価値向上」「新しい価値の創造」の三つだ。既存サロンの価値を把握・分析したうえで、科学的、情緒的に美しくなるロジックを再構築する。それを発信していくことで、市場に伝わる、伝える、共感されることを目指していく。
 
業績目標としては、2025年3月期には、連結売上高として、95億円を見込んでいる。2026年3月期には、売上高を100億円にまで回復させたい。




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