化粧品訪販のナガセビューティケァ(本社東京都、三原康弘社長)では、アフターコロナを迎えて以来、健康食品の訴求で、販売員の活動が活発化している。ロイヤル顧客向けの新サービスの提案や、通販の新商品の販売も好調だという。「休眠顧客にアプローチする戦略を強化する」と話す三原社長に、2,024年の戦略などを聞いた。
「脳疲労」にアプローチ
――2024年3月期の業績はどのように進捗したか?
全体的には前期比横ばいで推移した。健康食品分野では、健康意識の高まりが背景にあり、業績は全体的に堅調に推移した。一方で、スキンケアの売り上げの回復については、他社に比べると遅れ気味だったかもしれない。
健康食品分野では、当社の顧客のボリューム層であるシニア層の課題や悩みにアプローチする商品展開が奏功した。
現在は、「血流」「睡眠の質」「物忘れ」「ストレス」といった点が、身近な健康課題だと感じている顧客が多い。
将来的に不安を感じる健康課題として、「認知症」「がん」「筋力の低下」といったことを挙げる人が少なくなかった。
こうした将来の課題がある中で、当社は2023年中に、「脳疲労」「脳老化」といった課題に訴求する新商品を発売し、多くの顧客に受け入れられた。
睡眠の質が低下すると、脳の疲労につながるという研究データもある。そうしたエビデンスもあることから、商品がマーケットに浸透しつつある。
――アフターコロナになって1年が経つ。販売員の販売活動は活発か?
代理店(以下マネジャーという)の活動が活発になってきている。マネジャーたちが、傘下の販売員たちを活気づけてくれている。
4月には全国各地でマネジャーたちが一堂に会するイベントを開催した。これまでは、リアルでの大規模なイベントの開催が躊躇(ちゅうちょ)されていたが、ようやく開催できた。
――2024年のナガセビューティケァの方針を聞きたい。
新規顧客はもちろんだが、休眠顧客に徹底的にアプローチするという方針を打ち立てた。
コロナで販売活動が止まってしまっていた販売員が多い。自分で購入するのをやめてしまっていた人も少なくない。こうした休眠顧客にもアプローチしていく。
当社ではこれまで、マネジャーがどういった顧客データを持っているかについて、本社が詳細を積極的に把握してこなかった。休眠顧客にアプローチするに当たって、マネジャーの詳細な顧客データを把握する取り組みも行うことにした。
ロイヤルティーの高い顧客向けのサービスも開始した。「プレミアムサロン」というサービスで、当社の主力の健康食品「BMロイヤル」「ベルマッシュ」を毎日愛用する人が登録できる。対象者には、定期的に健康に関する情報の提供を行っている。無料のオンライン相談や、有名講師を招いて行うオンラインイベントへの招待なども行っている。
テレビで活躍している健康体操の講師を招いたオンライン講座も実施した。
現在7000人が登録しており、非常に好調だ。
――販売員の世代格差は課題となっているか?
20代や30代の新しいマネジャーが少しずつ増えてきており、同時に69歳で新たにマネジャーになる人も出た。販売組織において年齢を超えた連携ができている。
販売組織全体としては、マネジャー数が減少傾向となっているが、2年前から、新たにマネジャーを目指す人向けに「マネジャー養成講座」を設けた。販売活動をしながら週2日6カ月間履修する講座を設けるなど、マネジャーとしての意識を高める施策にも注力している。
厳しい研修を設けることで、販売員のプロ化を目指している。
着実に伸びるD2C
――昨年から、通販のD2Cブランド「roomS(ルームエス)」を展開していると聞くが。
ECサイトへの流入はかなり増えていっている。定期会員数も増加傾向にある。複数の美容雑誌に取り上げられ、JRのトレインチャンネルやTver(ティーバー)などの広告宣伝にも力を注いでいる。3月に行った市場調査では、ブランドの認知度は10%に上った。
着実にファンが増えており、ECモールへの出品も今後検討していく。
――2024年の戦略について聞きたい。
「BMロイヤル」「ベルマッシュ」を強く推していきたい。当社の製品はモニター試験を多数行っており、確かなデータの裏付けがあるものを販売している。
健康食品をきっかけに、さらなるスキンケアの顧客も掘り起こし、顧客の課題や悩みに応じて、顧客体験の充実を図っていく。