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2024.07.04

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【通販化粧品 専門家インタビュー】Nint マーケティングディヴィジョン デジタルマーケティングユニット アナリスト 山本真大氏 「ECモールでは化粧品全体で2桁成長」

山本真大氏


ECモールのデータ分析などを手掛けるNint(ニント、本社東京都、吉野順子社長)はこのほど、ECモールの化粧品EC市場について、2024年も、2桁成長が続いているとの見方を示した。アフターコロナでメークの需要が増加している以外に、スキンケアも成長しているようだ。要因としては、「VT COSMETICS」を始めとした韓国コスメの市場参入もあるとみられるという。Nintのデジタルマーケティングユニットの山本真大アナリストに、ECモールの化粧品市場について聞いた。




前年比18%の伸び率

──ECモールの化粧品EC市場の推移について聞きたい。

ECモールの化粧品EC市場は好景気だといっていい。

当社が提供している「Nint ECommerce(ニントイーコマース)」のデータから、楽天市場、アマゾン、ヤフーショッピングの三つのECモールの、スキンケアやヘアケア、メーキャップなどの化粧品カテゴリーの合計の市場規模を抽出した。直近の2023年1~4月と、2024年1~4月を比較すると、18%伸びていることが分かった。
 
2023年1年間で見てみると、「スキンケア」ジャンルの伸び率が高く、2023年1―12月の1年間は、12.3%伸びていた。

最も伸び率が高かったのが、「日焼け止め」ジャンルで、前年比19.2%の伸び率を記録した。次いで、「ベースメーク」が16.0%、「メークアップ」が14.5%、「ヘアケア」が7.1%だった。

ECモールの「スキンケア」の市場規模は、「日焼け止め」の10倍近くに当たる。他のカテゴリーよりも市場規模が大きい。それでも2桁成長を続けているということは、驚かざるを得なかった。

──ECモールの「化粧品」市場はなぜ成長を続けているのか。
 
一つは、リアルの化粧品市場が伸びている要因と同じことが当てはまると考えている。

コロナ期間中は、外出が制限され、外出する際もマスク着用が求められた。そんな時、さまざまなメディアが、スキンケアを継続的に行いつつ、マスクメークを訴求していた。日焼け止めの推奨もしていたと記憶している。


▲3大ECモール 化粧品市場規模の推移

2023年5月にコロナが5類に分類されてから、本格的に外出する機会が増えた。コロナ禍の、スキンケアするニーズが継続する中で、メークをするニーズが増えた。

それが消費にも顕著に出ているものと思われる。

韓国コスメが台頭


──メーカー別のシェアについて知りたい。

ECモールは、リアルの化粧品市場とは大きく異なる。リアルの百貨店やドラッグストアなどの店頭販売の市場では、資生堂やコーセー、花王といった大手化粧品メーカー上位10社が、市場のシェアの50%を占めているとよく言われている。
 
一方、ECモールでは、リアルの大手上位10社のシェアは30%にとどまっており、通販専業のメーカーも上位にランクインしている。

最近の市場動向で特徴的なのが、韓国コスメが参入してきている点だ。2023年のメーカー別の市場推移をみると、韓国の化粧品メーカーの「VT COSMETICS(ブイティーコスメティクス)」が、市場に参入して数年で、市場全体のシェアの1%を獲得している。

「CICA(シカ)」という成分を配合した製品の売れ行きが大変好調だ。近年、韓国のアーティストの影響から、韓国ブームが続いている。SNSインフルエンサ―の影響もあり、韓国コスメは、認知度を急上昇させた。ナショナルブランドに比べて単価が低い傾向がある。低めの価格帯が消費者ニーズに刺さっているようだ。
 
今後も、「VT COSMETICS」以外の海外化粧品メーカーの参入がありえる。ただ、海外の化粧品メーカーにとっては、日本の薬機法に対応することがネックと言われているようだ。
 
「スキンケア」ジャンルでは、生ビタミンC美容液を販売する「yunth(ユンス)」というブランドが、頭角を現している。
 
「ヘアケア」ジャンルでは、「Nile(ナイル)」というダメージケアのシャンプーが目立っている。




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