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2024.07.03

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【化粧品通販 専門家インタビュー】薬事法広告研究所 稲留万希子代表「規制強化でも”売れる”施策を」

稲留万希子氏


DCアーキテクト(本社東京都、鈴木幸治社長)の薬事法広告研究所では、薬機法・景表法・健康増進法などに特化した広告などのコンサルティングサービスを行っている。化粧品の通販・ECに対する規制は、ステマ規制の導入などを含め、強化の一途をたどっている。ステマ規制への対応策などについて、化粧品の通販広告事業に明るい、薬事法広告研究所の稲留万希子代表に話を聞いた。

ステマ規制で初摘発


――ステマ規制で初めて摘発があった。

ステマ規制は、23年10月にスタートした。約8カ月が経過し、24年6月に最初の摘発があった。ステマ規制で初めて摘発されたのは、医療法人社団だった。
この医療法人社団が運営するクリニックのグーグルマップの口コミが問題となった。確かに、口コミを時系列で並べると、まとまった特定の期間のみ、高評価が並んでいる。口コミで高評価をすることを条件に、インフルエンザワクチンの費用を割り引くことを伝えていたそうだ。この件は、明確に「ステマ」に該当すると言える。
ECプラットフォームにおいても、一部の出店・出品者においてはまだ、「購入者が高評価の口コミ投稿を行い、その投稿のスクリーンショット画像を事業者にメールすれば、事業者がクーポンやギフト券などと引き換える」といった動きが見られる。
 
――ステマ対策の注意点とは?

そもそも、グーグルマップ自体に、しっかりと広告のポリシーがある。グーグルのガイドラインでは、「インセンティブを提供することで投稿を促すこと自体を禁止します」としている。
つまり、ステマ規制上問題がない投稿だったとしても、媒体(プラットフォーム)側のガイドラインやルール上、問題になるケースもあるため、注意が必要だ。
そして、今回のステマ摘発から得られた学びとしては、”インセンティブと引き換えに、投稿内容を指示することは、確実にステマ違反に当たり、措置命令の対象となる”という点だろう。
今後も引き続き緊張感を持って、「広告」「PR」の記載を徹底する必要がある。
ステマにおいてはギフティングにも注意が必要だ。一般の人に商品・サービスを提供したとしても、事業者が表示の内容を指定するなどの関与を一切せず、投稿者が自由意志で表示を行うのであれば、問題はない。しかし、インフルエンサーに対して、化粧品などをギフティングしているのであれば、基本的にプロモーション扱いになると考えた方が良い。
「気に入ったら取り上げてほしい」という場合でも、そのインフルエンサーがギフティングされた商品を取り上げる場合は、プロモーションであることを明示すべきだ。
ステルスマーケティング対策に関しては、疑わしいものには、基本的に全て広告表記をするスタンスで対応することが妥当であるだろう。

――化粧品の通販・EC業界の規制について他に感じることは?

化粧品通販業界においては、インフルエンサーを起用した広告施策に関して、さまざまな規制に沿いながら、「どういったことができるか?」という相談が寄せられるケースが増えている。
ステマに対する規制だけでなく、アフィリエイトなど、さまざまな側面で、規制が強まっている。その中で、当社では「あくまでも法律やルールを遵守しながら、売れる施策や広告を作る」といった考え方のもとで、薬事広告に関するコンサルティングサービスを提供している。
24年6月6日には、「化粧品実践編セミナー」を開催した。7月8日まで、見逃し配信にも対応している。ステマ規制や、「ナンバーワン」表示への規制など、業界で話題のテーマを取り上げ、広告表現の”温度感”をつかんでいただくための解説を行っている。






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