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2024.07.04

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【通販化粧品 専門家インタビュー】東京神谷町綜合法律事務所 成眞海弁護士「初のステマ処分も、優先度は低いか」

成・眞海氏


6月7日に初めて行われた、ステルスマーケティング(以下ステマ)に対する、景品表示法に基づく措置命令について、景表法に詳しい成眞海弁護士は、「初めての処分が、SNSやインフルエンサーに対する措置命令でないことは意外だった。ステマ規制は課徴金の対象ではなく、措置命令の優先度が低い可能性がある」と話している。




意外な措置命令


──ステマ規制の措置命令が初めて行われた。どう考えるか。

正直言って、少し意外な措置命令だった。

消費者庁がステマ規制の導入を決めたのは、インフルエンサーによる、ステマの表示や、SNS上のステマ表示などを強く意識していたはずだ、なぜ、「グーグルマップ上のレビュー投稿の依頼」から処分するのかが、意外だった。

──今回の処分事例の内容についてどう見るか。

処分内容自体は、法律の内容に基づいており、違和感は全くない。処分対象となった医療法人がやっていたことは明らかなステマだった。重箱の隅をつつくような、いわゆる”見せしめ”的な処分とは言えないだろう。

違反認定された事実は、コンサルタントがアドバイスしがちな内容ではないかと思った。

処分に至った端緒は分からないが、消費生活センターにクレームが多く寄せられたことなどが発端だったのではないか。

消費者庁の景表法に基づく処分の方向性を見ると、処分の対象となるのは中小規模の企業が大半だ。似たような表示を行っている事例は、他にもよく目にするが、大手企業が処分の対象となるケースは多くない。

一方で、一部の大手企業が複数回違反認定されていたりもする。

処分の対象を選ぶのに、政治的な意図があるのかは分からない。ただ、景表法に抵触する違法な表示は、どこにでもある。消費者庁が対象を選んで処分を行っていることは間違いないだろう。

事業者としては、何がきっかけで処分を受けるかは分からない。第三者に依頼する表示であっても、法律の順守を徹底する必要があるだろう。

──今後、ステマ規制の法執行はどのような形で行われると思うか。

消費者庁が法改正の際に強く意識していた、アフィリエイト広告やSNSの表示に対する執行は、遅かれ早かれ必ずあるだろう。
 
ただ、ステマ規制は景表法の指定告示による規制だ。条文に規定された優良誤認表示や有利誤認表示と異なり、違反しても課徴金が課されることはない。

措置命令の優先順位が低い可能性もある。

今回は初めて措置命令が行われたが、今後は、ステマ規制に基づく措置命令を積極的には行わず、事業者に対する指導をメインに行っていく可能性もある。逆に、各都道府県と協力して、積極的に措置命令を行っていく可能性もある。

今後の執行状況を注視したい。

ナンバーワン表示は注意


──ステマ規制以外で気になっている法執行はあるか。

最近は、景表法に基づく措置命令の執行件数が減少傾向だ。消費者庁が、別の何かの理由で手が回っていないのかもしれない。

その中でも、2023年末から、機能性表示食品やアフィリエイト広告、ナンバーワン表示に対する措置命令が立て続けに行われた。特定商取引法の「最終確認画面の表示義務」違反の処分もあった。

その中でも、ナンバーワン表示については、注意すべきだろう。「ナンバーワン」の根拠を広告表示の中に書く必要がある。調査会社によるイメージ調査をもとに、「ナンバーワン」表示をすることは、措置命令の対象となる可能性がある。




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