セールイベント好評
─直近の業績について聞きたい。
23年7月―24年3月期(第3四半期)におけるEC売上高は、前期比約30%増の101億5400万円だった。
毎年12月に開催しているセールイベント「@cosme BEAUTY DAY(アットコスメビューティーデー)」が今期も盛況だった。
実店舗売り上げも拡大を続けており、同第3四半期の店舗売り上げは前年同期比約50%増の203億6200万円だった。
そのため、EC・店舗への送客に着手した。イベントでは、店舗しか利用したことがなかった顧客に対して、初めてECを利用してもらえるような取り組みにも注力した。具体的には、新規クーポンの発行や、アプリでのコミュニケーションの強化などを行った。ECと店舗で同様の企画を実施する取り組みなども行った。
そうした結果、EC・店舗の併売率が高まったことも成長の一因となった。
─今期の「@cosme BEAUTY DAY」はどうだったか。
過去最高の流通総額を達成し、成長に大きく寄与した。
出荷作業などが集中するセールイベントに向け、在庫数の調整や、倉庫との連携などについて改善を重ねてきた。出荷予定日の連絡をこまめに行いお客さまの不安を解消するなど、コミュニケーションの充実も意識した。
当社のECは、”化粧品が大好きな人たちに向けて、喜んでもらえるサービスを提供すること”を重視しており、同セールでも、リピーター向けの取り組みをさらに強化した。
24年6月1~7日には、「@cosme SPECIAL WEEK(スペシャルウィーク)」を開催した。毎年6月にEC・店舗で実施しているセールイベントで、今回で6回目の開催だった。
─ライブコマース番組「教えて!美容部員さん ライブショッピング」について聞きたい。
毎週配信している。平均視聴者数は数千人に及ぶ。当社の店頭で働く美容部員が、リアルの接客技術をベースに視聴者とコミュニケーションを取っている。
売り上げは成長を続けているが、セールスというよりも、「コミュニケーションツール」として展開している。LTV向上にもつながっている。
「@cosme SPECIAL WEEK」など大型セールイベントでは、「教えて!美容部員さん ライブショッピング」との連動企画も実施した。
最近では、ティックトックも力を入れている。順調にフォロワーも増えている。「美容部員」という強みを生かしたコンテンツを展開している。例えば、美容部員全員にアンケートを取り、「美容部員が好きなパックのランキング」などを、動画で配信している。各店舗のスタッフのポーチの中身を紹介するといった企画も人気だ。
─今期のEC事業の展望や、注力する点についても聞きたい。
アプリをハブに、EC・店舗の併売率が高まっている。EC・店舗のどちらも使ってもらうための成功パターンも、見えてきたので、今後さらに力を入れていきたい。
ECサイトへの流入は、口コミプラットフォーム「アットコスメ」や、オーガニックの検索などだ。その他では、アプリ経由の利用も多い。アプリをダウンロードした人が、ECを利用するケースが増えている。
アプリを使ったコミュニケーションは、引き続き強化していく。
何より、ユーザーとブランドの出会いを大事にしたい。ECで気軽に新しい商品を試せるように、サンプルやミニサイズを拡充するなど、品ぞろえを強化していく。
「美容品」に特化したプラットフォームだからこそ、「美容・コスメが好きな人たちが何を求めているか」という点を追求しながら、サービスや購買体験を提供していきたいと考えている。