─2024年3月期の通販・EC事業について聞きたい。
ハーバー研究所では、「無添加主義」を理念に、美と健康を助ける商品を展開している。ハーバーがこだわる「無添加主義」は、防腐剤パラベン、石油系界面活性剤、合成香料、鉱物油、タール系色素を配合していないのが特徴だ。
2024年3月期は、(1)上位の顧客層の稼働の増加(2)「薬用ホワイト&リンクルセラム」や40周年記念企画などの限定品の売り上げ拡大(3)8年ぶりに一新した新スキンケアメークの躍進─の3点が増収の要因となった。
─増収をけん引した製品について聞きたい。
有効成分としてナイアシンアミドを配合した「薬用ホワイト&リンクルセラム」は、23年9月に限定発売し、約1カ月で完売した。お客さまからの要望の声が強く、急きょ24年2月から数量限定で再販を開始した。
当社は昨年、創業40周年を迎えた。ディズニー100をテーマにデザインされた商品など、記念の限定品を発売したことが、新しいお客さまとの接点づくりや、売り上げの拡大に寄与した。
2024年1月には、「無添加ミネラルカラー(無機顔料)メークアイテム」を8年ぶりにフルリニューアルした。全39品目、107SKUの新製品を発売した。より進化した「ミネラルカラー(無機顔料)」の製品を新たに展開している。カラーバリエーションを拡充した他、直接肌に触れるベースメーク商品は、医薬部外品の認可を得た。当社の既存顧客のボリュームゾーンは40~50代だが、カラーバリエーションの拡大とデザイン一新により、さらに幅広い年代のお客さまに使っていただけるような製品に仕上げた。
LINE”友だち”は約2641万人
─顧客とのコミュニケーションについて聞きたい。
お客さまとのコミュニケーションにおいては、会報誌やメルマガ、DM、LINEなど、さまざまな手法を駆使してアプローチを行っている。
通販カタログの機能を併せ持つ会報誌「ハーバー美容手帖」については、売り場の一つと据えており、「見やすく」「買いやすく」「楽しくわくわくする」といった要素を重視して制作している。会報誌では商品について、季節ごとのお悩みに寄り添った提案や、使用方法などを取り上げている。商品の訴求以外にも、豊富なコンテンツを展開し、魅力ある誌面づくりに取り組んでいる。
自社ECサイト「HABA公式サイト」でも、「ハーバー美容手帖」に掲載しているものと同じ商品を確認できる。ブランドの価値観を発信する場の一つとして、公式サイトのコンテンツの充実に力を入れている。
2023年10月には、自社のオウンドメディアをリニューアルした。お客さまから非常に好評で、オウンドメディア経由の売り上げも伸長している。
LINEについては、「友だち」が約2641万人となっており、幅広い年齢層の新しいお客さまとの接点の一つとしても活用している。
LTVを最大化
─ロイヤルティーの高い顧客層の購買額が、さらに増えた要因は。
当社の中期経営計画(22~24年)の基本戦略においても、「ロイヤルティーの向上・LTVの最大化」を掲げており、ロイヤルティーは全社的に重視してきた要素だった。お客さまに向き合い、コミュニケーションをしっかり作り上げた。
当社の会員制度「クラブハーバー」では、六つのステージを用意している。各ステージごとに、ポイントなどの特典が異なっている。
24年3月期は「クラブハーバー」で見ると、上位ステージのお客さまの購入金額がアップした。下位ステージ層が、購入増によりランクアップした。当社では、紙のDMで限定情報を発信するなど、ステージごとにコミュニケーションを変えてアプローチを行っている。その成果が出たと考えている。
─会員制度を統合したと聞いた。
以前は、通信販売・百貨店店舗で、それぞれ会員制度が異なっていたが、22年11月に会員制度の統一を実施した。ワンアカウントで、一気通貫した、フォローやサービスの提供が行えるようになった。
結果、店舗・ECの併用率が高まり、LTV向上につながっている。今後も相互送客を促進する取り組みを行い、お客さまにとっての利便性の向上に注力したい。
細やかなフォローができるよう意識し、ロイヤルティーの向上とLTVの拡大を図っていく。
同社の会報誌では、「買い物」にとどまらず、「楽しく読んでいただき、ブランドへの理解を深める」「ワクワクする」という視点を大切にしているという。
「HABA(ハーバー)」とは、「Health Aid Beauty Aid(美と健康を助ける)」という意味だ。会報誌でも、「美と健康」をテーマに取り扱っている。「運動・体操」「料理のレシピ」など、幅広いコンテンツを展開している。「”三浦しをん”のコラム」「占い」なども人気だという。同社の実店舗がある地域についての観光情報を掲載することもあるそうだ。