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2023.11.28

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(公社)日本訪問販売協会 大森俊一専務理事「訪販の強み生かしつつビジネススタイルを進化」【40周年記念インタビュー】

日本訪問販売協会 大森俊一専務理事



公益社団法人日本訪問販売協会は1980年の発足から今年で43年を迎えた。コロナ禍を経て、高齢者の見守りといった対面を強みとする訪問販売の社会的な役割が増す中で、協会では、訪問販売業界の健全化を進めるさまざまな施策を打ち出している。大森専務理事に訪販業界の社会的な役割と今後の見通しについて聞いた。





—訪問販売業界の40年を振り返って欲しい。

当協会は今年で発足43年目を迎えた。この間、会員事業者と関係団体の皆さんは、さまざまな自主的取組みに対応することで業界の適正取引を推進する役割を果たされたと考えている。

国内市場は人口の減少と高齢化の急速な進展、自然環境の変化も深刻さを増している。コロナ禍のデジタル化も大きな課題となった。1980年代前半は2桁成長をしてきた訪販業界も訪問販売の形態を悪用する業者が出てくるようになり、業界の成長を大きく阻害する脅威となった。

一方近年では、苦情相談は大きく減っている。国民生活センターのPIO-NETの2022年度の訪問販売の相談件数は6万9741件だった。ピーク時の2003年度は18万4817件だったので、この20年間で62.3%減少したことになる。

また、2022年度の相談上位10の商材をみると、住宅設備関連など特定の商材に集中し、ほぼ特商法に基づき処分された業者の商材と共通している。

不当勧誘を繰り返すアウトサイダーはそもそも順法意識がない。高齢者をだまして売る業者を根絶するには、従来のような一律規制の方法では限界がある。例えば、健全な事業者は健全に成長し、悪徳業者を市場から排除できるような法規制と、業界の自主規制が効果的に機能するような考え方、方法が望まれる。

商品やサービスを訪販事業者に供給するメーカーにも関心を持ってもらいたい。商品を供給しなければ悪質事業者が事業を行うことがそもそもできないからだ。

─3年に渡るコロナ禍が訪問販売業界に与えた影響は?

訪問販売の存在意義(パーパス)を再確認できたという声を聞く。例えば、訪問営業とサロン、通販を混合して行っている会員企業は、コロナ禍初期の頃は、サロンの来客数が激減したものの、訪問販売のお得意さまの8割はつながっていたと話していた。電話やメールでコミュニケーションができ、時期を経て安全対策を講じつつ、対面で商品やサービスのやり取りができたようだ。

新規顧客の開拓は制限されたものの、既存顧客との関係が維持できていることは、訪問販売の強みだ。また、外出が自粛されていた時期では、心配事を聞いてもらいたい顧客もいたと聞く。その会員企業では、電話やメールなどで応じていたようだが、お客さまの気持ちに寄り添い、精神的な支えになれるという点は、通販などにはない、訪問販売特有の最大の価値だ。

─健全な企業とそうではない企業との差別化が求められている。

当協会では、教育カリキュラムを履修し、試験に合格した販売員を登録する「JDSA認定教育登録証」の拡充をすすめている。従来の紙ベースの登録証に加えて、パソコンやスマホでも掲示できるような電子化を検討している。また、会員企業が契約したお客さまへ交付する契約書面に、協会の相談ダイヤルを掲載することを促進することで差別化が図れるものと考えている。

自主行動基準の規定では、認知症など判断力不足の高齢者に対する利益保護強化の方針を打ち出す。また、若年者に対しては、2022年に連鎖販売取引の相手方として不適当と考えられる者の中に、「成年に達したばかりのもの」を追加した。現在のトラブルの現状を分析し、さらに必要な事項の追加について検討を進めたい。

─今後の訪販業界の見通しについては?

どんな時代でも、訪問販売は人に寄るところが大きい。訪問販売には、製品の販売やサービスの提供を通して、お客さまのニーズを満たすだけでなく、必要な情報や知識を提供するという側面もある。お客さまの気持ちに寄り添い、心を満たす存在にもなれる。長年培ってきた対面での訪問販売の強みを最大に生かしつつ、デジタルも活用し、ビジネススタイルを進化させていくことが必要だ。




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