CLOSE
CLOSE

2024.07.25

【特集 通販・対面販売のSDGs <インタビュー>】プレミアムウォーターホールディングス 金本彰彦社長 「『地方創生』『災害備蓄』『環境保護』の三つに貢献」

金本彰彦社長


水宅配国内最大手のプレミアムウォーターホールディングス(PWHD)は、「地方創生」「災害時の備蓄」「プラスチックの削減」─という、主に三つの側面で、SDGsに貢献する事業を展開している。プレミアムウォーターホールディングスの代表取締役社長である金本彰彦氏に話を聞いた。


国内8カ所に厳選した水源


──PWHDが行っているSDGsの取り組みについて聞きたい。

まず、天然水の採水工場を地方に建設・稼働することにより、地方の雇用を生み、地方自治体の税収を上げている。

当社では現在、「山梨・富士吉田」「静岡・富士」「長野・北アルプス」「岐阜・北方」「奈良・吉野」「兵庫・朝来」「島根・金城」「熊本・南阿蘇」の全国8カ所の水源から天然水をお届けしている。

それぞれの地域の天然水を日本各地に届けることにより、採水地の名前を全国に紹介し、知名度を広げている。

当社は採水地の選定を行う際に、ミネラルのバランスなどさまざまな基準に照らして、一定のクオリティーに達した天然水だけを厳選している。

最も新しい岐阜・北方の天然水が提供できるようになった際には、お客さまから、「おいしい」と好評価をいただくケースも多かった。「天然水」のイメージのなかった岐阜・北方が、当社のサービスによって、新しいイメージを持ってもらうきっかけとなっていると考えている。

──山梨・富士吉田や岐阜・北方の採水工場は、倉庫内ロボットによる自動化が進んでいる。人の「雇用」とのバランスはどうか。

採水工場を自動化しているのは、人の手が足りずにトラブルが起きて出荷できないという事態を防ぐための取り組みでもある。

月間数十万本のウォーターボトルの製造・出荷を行う採水工場では、機械による自動化を行う前は、工場内で絶えず、ウォーターボトルを積んだパレットをフォークリフトで運搬したり、トラックに積んだりする作業を行っていた。

今後、さらに人手不足が加速すると想定している。機械による省人化と、人材の採用を同時に行わなければ、お客さまにとってメリットのある、安定したサービス提供は続けていけないと考えている。

水源自治体と協定も


──「ウォーターボトルの備蓄」によるSDGsの取り組みについて知りたい。


災害が発生したときに備蓄している天然水のウォーターボトルを活用してもらえれば、水道の供給が止まっても、生活を維持できる。

当社は、採水工場が所在している山梨県富士吉田市・岐阜県北方町・兵庫県朝来市の自治体と、災害時の連携協定を結んでいる。地域に災害が発生した際には、採水工場からウォーターボトルやウォーターサーバーを提供することになっている。いざというときには、採水工場を避難所として提供することもできる。

今年1月1日に発生した能登半島地震の際には、地震発生直後に、当社のウォーターボトル2048本を被災地に提供した。

当社と提携している配送会社のヤマト運輸と迅速な連携ができたことから被災後すぐに水を運ぶことができた。

被災地には、ウォーターサーバーがなくともウォーターボトルを利用できるよう、非常用キット400セットも提供した。このキットでは、ウォーターボトルを設置する、専用のラックと、専用のコックがセットになっている。

電気やガスに比べて、水道の復旧は時間がかかるといわれている。しかしながら、水は命をつなぐために必要不可欠で、数日分の備蓄をしておくことが推奨されている。

今後も日本全国で災害は増えていくだろう。当社としても、物資の提供を行いつつ、各家庭での備蓄の重要性を訴えていきたい。

ユーザーの分別意識も高まる


──ウォーターボトルの宅配ではプラスチックごみは必ず発生する。プラスチックの削減にはどのように取り組んでいるか。

162万件いる、当社の宅配水のお客さまに対して、プラスチックごみを正しく分別し捨てていただくことを訴求している。

その結果として、当社のお客さまに対して調査を行ったところ、23年9月時点で、約87%が、「ウォーターボトルの容器を資源ごみに出している」ということが分かった。調査は毎年行っているが、年々、その割合は高まっている。

当社が長年、プラスチックごみの削減について、お客さまに働きかけている成果でもある。

また、当社では、ウォーターボトルのプラスチック容器の軽量化を進めており、使用するプラスチック量を減らしている。プラスチックの量は、ペットボトルの構造を変更し、2015年以前に比べて20%軽量化している。

──CO2の排出削減にも取り組んでいる。

当社では現在、各地域の配送会社と提携し、ウォーターボトルを配送する自社物流網を構築している。2024年3月末時点では、51・5%が、自社物流で行っている。

自社物流網を構築することにより、柔軟な配送方法が可能となる。再配達の抑制にもつながるため、CO2の削減効果が期待できる。

自社配送網では、拠点間の配送において、他の企業との共同配送の取り組みを行うことも検討している。共同配送を行うことにより、トラックの積載効率が高まるため、実質的にトラックの台数を削減することができる。

ラストワンマイルだけでなく、拠点間の輸送においても、積載効率を高めることにより、CO2の削減につなげたい。

これは、全国に物流網を構築し、安定してウォーターボトルを供給している、当社しかできない取り組みだと考えている。




タグ:

おすすめの記事

PICK UP