ベルシステム24は今年、2025年までの中期経営計画(中計)を発表した。新たな中計では、「人材」「型化」「共創」の三つの軸を中心に事業展開を強化する。2023年2月期の連結売上高は1560億5400万円だったが、中計最終年度となる2025年度までに、連結売上高を1800億円にまで引き上げる計画だ。ベルシステム24のソリューション推進本部コンサルティング部・北岡豪史部長に中計の詳細と、今後の展望などについて聞いた。
三つの重点施策
─今年、新たな中計を発表した。詳細を伺いたい。
新たな中計は「NEW BPO 全ての”その声”を深める、つなげる、広げる」がテーマ。現場に集まる多くの声を経営判断に関わる価値に変え、最適なアクションに導くプロセスの型化と、新たなデータ活用による生活者と企業の接点の最適化の加速を目標に掲げている。
その中で三つの重点施策がある。「人材」と「型化」と「共創」だ。「人材」は4万人の戦力を最大限活躍できる環境を目指す。全方位に多様で柔軟な働き方改革を推進し、JOBマッチングによる個人の能力最大化、完全在宅オペレーションの進化などを行い、成長機会の仕組み化と次世代の働き方環境を整備していく。
「型化」はいわゆるデータ活用の高度化だ。クライアント企業が持つ購買データなどを含む属性データと、当社が持つ音声データを連携させることで、成果向上や最適な顧客体験の創出を目指す。効果的な自動化と人材のハイブリッド運用にも注力していく。
─先日、養豚生産者向けのソリューション提供を手がけるEco―Porkと資本業務提携も締結した。今までにない新たな企業との提携だと感じる。このことが中計の「共創」にあたるのか?
Eco―Porkとの提携で、養豚業界の課題解決に向けて、一次産業BPO領域を開拓できる。社会課題の解決につながる新たな領域でのBPO事業を拡大していく。拡大にあたり、専門分野では、その分野の企業と協業を進めていく。
データ活用を推進
─「型化」についてもう少し伺いたい。データ活用の高度化は通販・EC企業に特に関連が深いテーマだと感じる。詳細を教えてほしい。
「型化」はCX業務の深化でもある。これまでのコンタクトセンターでの業務運用力を生かし、CX視点で最新のデジタル技術とVOCをはじめとしたデータを活用することによって、生活者とクライアントの接点の最適化により、最良な顧客体験を提供していく。実現に向けて「デジタルCXコンサルティング」の取り組みに注力していく。
─「デジタルCXコンサルティング」とは?
「デジタルCXコンサルティング」は、クライアントの業種・業務に関わらず、オーダーメードで顧客接点の高度化を戦略立案から運用までを支援する。メール・チャット・SNSなどの問い合わせのオムニチャネル化を始め、自動応答やチャットボット対応などの自動化や、音声認識などさまざまなソリューションを提案する。VOCのマーケティング活用や商品改善、FAQへの展開など、ニーズに合わせた施策展開まで行う。
150人を超えるメンバーの中からカスタマーサクセスチームを作り、定着化までのPDCAを回すことで継続的に改善を行い、クライアントと伴走する。その結果、クライアントの売り上げ増加、課題解決につなげていく。
─実際にはどのように支援しているのか?
実際の取り組みでは、「デジタルCXコンサルティング」で目指すセンターコンセプトと現状とを比較しながら、クライアントの環境や、ありたい姿と組み合わせて、課題解決につなげるように進めている。
これにより、「NEWBPO」を加速し、CX領域の深化による新領域として、新しいポジションの確立を狙っている。一般的には、戦略の策定はコンサルティング会社が行い、ソリューションの導入はシステムインテグレーター、そして業務の実行をアウトソーサーのコールセンター企業が行う。
だが、当社としては、CX領域に特化することを前提に、運用だけではなく、従来、上流のコンサルティング会社からシステムインテグレーターが担ってきた戦略やプロセス策定からソリューション導入も含めて、一気通貫で担っていきたいと考えている。
現代では、ツールもセールスフォースやゼンデスクなど、開発レスでクラウド型のプロダクトが増えた。以前はそうではなく、開発にも時間がかかり、開発力と製品が付加価値だった。だが、今となっては簡単にツールを導入でき、企業は利活用が付加価値となっている。
そこで、コンタクトセンター運用を手がける当社だからこそできる、システムの使い方や利活用までしっかりサポートする。運用しながら改善を繰り返し、ニーズに沿った運用を行うことで、当該市場のシェアを獲得できると考えている。「システムも分かる」「現場も分かる」と、一気通貫で対応できるのが強みだ。