コールセンターのスポットの対応は難しいという。慢性的な人手不足に悩まされているコールセンター企業が多く、人材を急に確保することは至難の業だといえる。さらに短時間で多くのことを教えなければならない。だが、アイ・エヌ・ジー・ドットコムでは、独自の仕組みを構築して、スポットでの注文に対応している。
「急に人材が必要になったときは、連携している人材派遣会社から電話対応スキルの高い人材を派遣してもらうことができる」(澤田英士社長)と説明する。
その後、すぐ即戦力になるよう教育を徹底する。基礎的な電話対応はできるものとして、その企業の情報、商品情報、なぜスポットで注文することにしたのか、インバウンドで必ず聞かなければいけないことなどを最短当日、平均2日間のカリキュラムで習得する。
「例えばだが、月曜日の午後3時までに注文をいただければ、次の日の火曜日に人材を確保し、水曜日に教育し、木曜日から始動することが可能だ。もっと急ぎの場合は、月曜日に注文を受け、火曜日に人材を確保し、水曜日の始業前に教育し、水曜日からの始動に間に合わせることもできる」(同)と話す。
それだけ短い時間で業務を開始できるのは、教育体制が万全だからだ。創業以来スポット注文が多かった経験から、必ず聞かなければいけないこと、どういう手順で聞くと漏れがないかなど、現場の声を集めて、初めての人でも円滑に業務を進められる教育マニュアルを作り上げたという。
「まずは氏名、連絡先、商品名、決済方法は必須で聞く。このほか、物流会社はどこか、最短何日で届くのかなど、意外に多く聞かれることを教えている。時間に制限があるため、全てを伝えるよりも、重要かつ見逃しがちなことをピックアップして伝えていくイメージだ」(同)と話す。
最近も企業からの導入が続いている。過去には、おせちを販売する企業が、想定よりも電話注文が多く、スポットでの導入が決まったという。展示会に出展した企業が、名刺を交換した顧客にその後、営業電話をし、アポイントにつなげる目的で導入することもあったという。