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2024.08.16

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【通販トップインタビュー 】オークローンマーケティング 浅野茂樹本部長 「顧客を細分化、配信アプリ活用も」

浅野茂樹氏


テレビショッピング「Shop Japan(ショップジャパン)」を展開するオークローンマーケティング(本社愛知県、ロバート・W・ローチ会長兼社長)の業績が回復傾向にある。2024年3月期の売上高は前期比8.3%減の362億2800万円だった。だが、今期2024年4‐6月期(第1四半期)の売上高について、浅野茂樹本部長は「前年同期を上回ることができ、今期は良いスタートダッシュが切れている」と話す。浅野本部長に前期の振り返りと今期の状況、今後の成長戦略などについて聞いた。



──前期を振り返ってほしい。

2024年3月期の売上高は前期と比べると微減だったが、利益面は黒字にすることができた。2020、2021年は当社にとっては苦しい時間だった。新しく売り上げを伸ばしていく施策を実行しても良い結果が出ず、2期連続の赤字となってしまった。

徐々に会社としてコスト削減の方向性にシフトしていった。媒体では赤字が出る枠は見直し、媒体量も調整した。オフィスも縮小したり、希望退職者も募ったりした。

その結果、2022年は固定費の削減につながり、会社として再度売り上げを伸ばしに行こうという段階になり、2023年は売り上げ拡大のための、「種まき」をしていた時期だった。

──「種まき」とはどういう意味か。

いろいろな意味がある。一つは次に流行るであろう新商品をテストマーケティングしたということだ。

「Shop Japan」で販売する商品は海外ですでに人気の高い商品を仕入れて販売するのだが、2020年はコロナによるロックダウンが起き、海外の工場では生産がストップした。2020年の下半期から2021年にかけては、海外の企業から商品の提案がされず、結果として2022年は新商品を「Shop Japan」で販売することができなかった。

だが、2022年の下半期からは海外企業からの商品提案の機会が戻り、2023年の下半期には簡単に豆乳を作れる「ソイリッチ」や軽量コードレスハンディークリーナー「インビクタスワン」を販売することができた。この2商品は2024年3月期の売上高の回復に大きく貢献した。

──良い商品を販売できたということで、今期のここまでは前期を上回る増収を達成できているのか。

今期のここまでの売上高は前年同期を超えている。もちろん「ソイリッチ」や「インビクタスワン」のように日本人に支持されそうな商品を用意できたこともあるが、それだけではない。

2023年に既存映像を変更し、より視聴者に分かりやすく購入されやすい映像に刷新したことも今期の好調要因となっている。

新メディア活用も検討


──顧客層は新規顧客が多いのか。それとも既存顧客が多いのか。

割合でいうと、新規顧客が7割、既存顧客が3割だ。新規顧客は未だテレビを見て購入して下さる人が多い。今はまだテレビを見る人は多いが、今後のことを考えると、テレビではない別のメディアを活用することも必須だと思っている。

テレビを専用アプリで見られる「TVer(ティーバー)」やスマホでラジオが聞ける「radiko(ラジコ)」などの活用を考えている。広告枠として、枠を購入して放送する。どれだけの人が見てくれるのかを分析したい。

既存顧客向けとしては、当社の人気商品である上質な寝心地を実現する「トゥルースリーパー」のマットレスを、2019、2020年に購入した人に「買い替えいかがですか」とDMでアナウンスをした。一度購入してくれた顧客には正規価格よりも少しお値引きした価格で提案している。

既存顧客向けの取り組みとして、顧客の年齢を細かく見ていくことにも注力している。以前は60~80歳をシニア層として捉えていたが、現在は一歳一歳細かく見て、レスポンスを変えている。

当社の顧客では、70歳代はテレビを見て電話で注文をする人が多い。65~69歳はテレビに表示しているQRコードから注文をする人が多い。そして60~64歳はテレビを見てECで購入する、そもそもテレビを見ないでECだけを見て商品を購入する人も多い。

このことは新たな発見で、もっと顧客を細分化して見ないといけないなと痛感した。先ほど申し上げた「TVer」や「radiko」もこれに当てはまり、60~64歳で「Shop Japan」を知らない人はまだどこかにいるはずだ。その人を獲得しにいくという狙いがある。

──今後の「Shop Japan」の成長戦略は。

今後はオリジナルブランドをさらに増やしていきたい。「トゥルースリーパー」も自社オリジナルブランドだ。ブランドが確立すると、テレビでも売れるし、ウェブでも売れるし、小売でも売れるようになる。
 

「Shop Japan」の下に価値のあるブランドが多数並んでいる。そしてどのブランドも市場でナンバーワンのシェアを獲得できている。これを実現することができれば、「Shop Japan」の売上高はさらに拡大していくと考えている。






 

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