業務用厨房機器のECを展開するテンポスドットコム(本社東京都、品川絵美社長)の2023年4月期の売上高は26億2500万円だった。2024年4月期の売上高は33億9900万円と、大幅増収となった。飲食店を新規で開業する事業者に対するサービス提供を拡充。開業検討時期の情報収集など、初期段階から支援を行うようにした。その結果、新規開業事業者の顧客単価が大幅にアップしたという。近年は、BtoCへの展開をにらみEC企業のM&Aにも注力。27年4月期の全社売上高としては、100億円を目指しているという。同社の品川絵美社長に話を聞いた。
──近年の売り上げの推移について聞きたい。
当社の2023年4月期の売上高は、26億2500万円、2024年4月期は、33億9900万円だった。
2025年は売上高42億6000万円の達成を、2026年には売上高65億円の達成を目指している。2027年4月期には、売上高100億円の達成を目指している。
既存の厨房機器のBtoBECで増収を図っていくのはもちろんだが、一方で、EC企業のM&Aも進めている。M&Aは10社が目標。BtoBだけでなく、BtoCのEC企業のM&Aも考えている。これまで獲得できていなかった顧客層を開拓することにより、顧客の幅を広げていきたい。
新規開業向けの支援を強化
既存事業では、新規で開業する事業者との接触時期を早めることに注力している。新規で飲食店を開業すると、備品などに平均約400万円かかるといわれている。しかし当社ではこれまで、新規開業事業者の顧客単価は15万円ほどだった。
近年は顧客との接触時期を早め、開業を検討している時期の情報収集から支援するようにしており、その結果、顧客単価は80万円まで増加している。
今後も初期段階からの支援体制を強化していく。こうした取り組みにより、顧客単価を400万円まで高めたいと考えている。
今後は、国内で飲食店を出店する外国人も増えてくると考えている。異国での出店は、頼れる人も少なく、簡単ではない。そういった人向けのサービスを充実させることも、重要になってくると考えている。
現在、開業支援のページは、日本語にしか対応していないが、今後は外国語への対応も進めていく。
新規事業の展開も
──新規事業について教えてほしい。
売上高100億円を達成するに当たっては、既存の通販事業で90億円、新規事業で10億円を見込んでいる。
新規事業の内容は、通販だけでなく、リアルの店舗展開も考えている。これまで飲食店の支援を行ってきたノウハウを生かし、自社で飲食店を出店する可能性もある。
実際に飲食店を運営すれば、今後の支援の幅を広げることができるかもしれない。現段階では、可能性の一つとして考えている。
日本の飲食業界は今後も、変わっていく点が多いだろう。変化する市場に臨機応変に対応していくことにより、単なるEC企業ではなく、日本の食文化を幅広く支援できる企業になれるよう、事業を展開していきたい。