通販市場にイノベーションを
ペンシルが採用方針を転換したのは、「新しいイノベーションを起こせる人材」を求めているからだという。コロナ禍を経て、通販のすそ野が広がった。大手食品メーカーなどではこれまで、メインの事業と通販部門が切り分けられているケースが多かったが、現在は、メインのブランド自体で通販を展開することも少なくなくなったという。
通販のすそ野が広がった結果、CPAは高騰し、規制も強化されるようになった。そんな中、新しい手法を開発できる人材や、他の業界の手法を通販に導入できる人材の必要性が増していると、同社では考えているという。
そこで、ペンシルでは、「会社に入れてほしい」という人材よりも、「会社に入ることを自分で選択する」という姿勢の人材を採用するようにしたという。
ペンシルでは現在、人材の採用において、二つの基準を設けているという。
一つの基準は、「社内の既存のメンバーにマッチするか」だという。社内で主力として活躍している人を分析。入社後にそのメンバーと円滑に業務をこなせるか、事業を成長させることができるかを見ているのだという。データを重視して設けた、採用の基準だとしている。
もう一つは、応募してきた人材に、「分析能力や課題解決力があるか」を見ているという。
通販のコンサルティングを行う上で、クライアントの課題を分析し、課題の解決策を提案できるかを見ているのだとしている。
自己主張の強さを評価
ペンシルが採用方針を転換してから、早速成果を生んだ人材が出てきているという。
新卒で採用した、韓国にルーツを持つ社員は、「韓国にペンシルの支社を作りたい」という強い意志を持って入社してきたそうだ。
その社員は、クライアントのECサイトの、ハングル対応への改修を手掛けた際、大きく貢献したという。
韓国の人が見た時に、分かりやすい表現を採用。韓国の人にとってのサイトの見やすさ・使いやすいさをサイトに反映したのだという。
韓国人でないと伝わらない微妙なニュアンスを、サイトの細かな言葉遣いで表現。ボタンの位置や色使いなどにも反映したという。その結果、サイトのPVやコンバージョン率が高まったとしている。
同社では、「課題の解決策を考えるだけでなく、自分で主張する強さを持っている点を会社として評価した。『目的のために会社を利用しよう』『課題を自分で切り抜けよう』という意思を持っていることも、新たな採用基準においては重視している」(倉橋社長)と話している。