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2023.11.27

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【インタビュー】ベルシステム24ホールディングスに聞く シンカー子会社化の狙いとは? コンタクトセンターとマーケデータを連携、最適な顧客体験提供

シンカー代表取締役社長・藤縄義行氏(写真右)とベルシステム24・事業開発本部・エグゼクティブマネージャー兼シンカー代表取締役副社長・中田博之氏



ベルシステム24ホールディングス(HD)はこのほど、データマーケティング事業やAI(人工知能)ソリューションの開発などを展開するシンカーを子会社化した。子会社化の狙いについて、両社は「顕在層だけではなく、潜在層含め、最適な顧客体験を提供していくためだ」と説明する。シンカーの藤縄社長と中田博之副社長に子会社化の経緯や、今後の戦略などを聞いた。





一貫した顧客体験を設計


─シンカーを子会社化した理由は?
中田:ベルシステム24グループでは、約2年前からデータマーケティング事業に取り組んできた。コールセンターはいわゆる企業を支える下流に位置するが、そこから顧客接点全体を支援するという観点で考えたときに、当社としてどのようにサポートできるのか、このことを常に検討していた。

コールセンターに電話をかけてくる人は、何か疑問を持って、それを解決するために電話をかけてくる。顧客体験価値をさらに高めるためには、電話や問い合わせに至っていない潜在層に対して、どのような情報を発信し、ブランドを認知してもらい、購入につなげていくのかが鍵となる。より一貫した顧客体験を設計することが何よりも重要になってくる。

ベルシステム24グループでは、ウェブサイトやSNSの運用、コールセンターでの接客対応など、運用・接客面では自信があった。その一方でデータに基づく企画立案や、データ基盤の構築など、設計・構築面には課題があった。

そこで、データマーケティングやAI関連プロダクト開発に関する知見・技術を持つシンカーを子会社化することにした。潜在顧客も含む顧客接点全体の企画設計から構築、運用までを一気通貫で支援できるマーケティングBPO体制の構築を目指す。

─シンカーの事業内容を伺いたい。
藤縄:シンカーはデータマーケティング事業を主軸とした会社で、データ基盤構築からデータ分析、AIモデル構築、マーケティング施策の実行までを一気通貫で支援している。シンカーから見た今回の子会社化の狙いも、先ほど中田が申し上げた内容と変わらない。

コンタクトセンターとマーケティングを含めた顧客接点の最適化と顧客体験価値向上を追求し、共同でさらなる便利なサービスの開発に注力していく。

ロイヤルカスタマー予測


─ブランドをよく利用するコアなファンへの育成方法は?
藤縄:初回購入時点でロイヤルカスタマーになるかを予測する手段がある。シンカーでは、独自のAI予測モデルを構築している。

初めて購入してくれた人の場合は、購入個数や購入品目数、購入金額、決済方法など、約300のカテゴリーから情報を分析し、その顧客がロイヤルカスタマーになるかを調査する。

見込み客には、専用のシナリオを作って、限定商品を紹介し、特別クーポンを配布して購入につなげる。最終的に高単価の商品をレコメンド提案して、それが購入につながればブランドを愛するファンになったという証明になる。

通販業界はCPA(顧客獲得単価)の上昇などで、新規顧客獲得が難しい現状がある。今こそ既存顧客により目を向けるべきで、シンカーのデータマーケティングの目的もロイヤル顧客資産の増加だ。どれだけLTV(顧客生涯価値)が高い顧客を育成することができるか。上位顧客にマーケティング予算を投下し、ロイヤルカスタマーの拡大を目指す。

─子会社化したのは最近だが、ベルシステム24グループとは以前から付き合いがあると思う。ベルシステム24グループとうまく連携して支援した、事例もすでにあるのではないか。
藤縄:分析を軸にした百貨店での成果事例がある。既存顧客に季節商品を提案する際、機械学習を用いたスコアリングを行い、スコア上位者のみに架電を行った結果、受注率がアップした。

まず対象の季節商品を購入した顧客の傾向を調査した。購入回数や地域、ほかにどのような商品を購入しているかなどを分析した。次に機械学習を用いて対象の季節商品を購入する確率を既存顧客に対して計算した。そして購入可能性スコアが高い顧客に限定して架電を実施したところ、受注率が大幅に向上した。

ベルシステム24グループのコンタクトセンター運営の強みと、シンカーでの顧客データの分析、分析結果に基づく施策立案といった強みを組み合わせることで改善することができた。




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