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2024.11.06

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【コンタクトセンター特集 <トップインタビュー>】ベルシステム24 執行役員兼デジタルCX本部 加藤寛本部長「生成AIに関する”ラボ”を始動」

加藤寛氏


コンタクトセンター業界大手のベルシステム24ホールディングスの2024年2月期の売上高は、前期比4.7%減の1487億1700万円だった。2025年3‐8月期(第2四半期)の売上高も前年同期比6.1%減の720億円と減収傾向が続いている。高利益率だったコロナなどの国策関連業務の減少が影響しているという。今期の注力分野として、執行役員兼デジタルCX本部・加藤寛本部長は、「『NEW BPO』と『生成AI活用』が重要になる」と話す。加藤本部長に前期の振り返りと今期の注力点、「生成AI」の取り組みなどについて聞いた。




前期は減収減益

──2024年2月期は減収減益だったが、要因なども含めて振り返ってもらいたい。

前期はコロナ関連業務の終了が影響し、減収につながった。今期の第2四半期までの累計を見ても、未だ前年同期と比較して、減収減益となっている。

ただ、足元においては、新規案件の受注件数が去年の2倍程度増えている。コンタクトセンターだけではなく、幅広い業界・業種のBPO領域まで範囲を広げて積極的に営業を行っており、新規の受注件数の増加につながっている。

──中期経営計画において「NEW BPO」として、新たなBPO市場の開拓も進める方針だったと思う。現状はどうか。

日本はこれから労働人口が減少する傾向にあり、確実にBPOのニーズが増えると思っている。

現在、着実に新たなBPO領域の開拓は進めている。具体的には、人事経理BPOやマーケティングBPO、畜産DXを進める一次産業BPOなどがある。

特に、マーケティングBPOでは、経験や勘ではなく科学的アプローチで消費者のニーズや欲求を理解するデータマーケティングが必要不可欠になっている。そのため、当社のコンタクトセンターに蓄積されるVOCの活用スキルとパートナー企業が持つ技術を組み合わせたBPOサービスの展開を進めている。

具体的には、ブレインパッドと連携し、ソーシャルリスニング・UGC活用のBPOを提供し、成果が出ている。さまざまなSNSから、関連情報を網羅的に収集・分析し、マーケティングや商品開発に活用できるよう支援する。 

また、子会社のシンカーと連携し、アイスタイルが運営する「アットコスメ」へのサービス提供を通じて、「生成AI」によるユーザーペルソナの作成を行い、その活用として化粧品メーカーへのマーケティング戦略支援を進めている。

共創型プロジェクト始動


──「NEW BPO」以外に注力する取り組みは。

「NEW BPO」ともう一つは「生成AI」の活用だ。世の中を見ても一昨年の「ChatGPT」の登場から「生成AI」が賑わいだした。「人が介在したビジネスが減少する」などの声も出始め、そこに対して、企業として”見解を持つ”必要があるという結論に至った。昨年5月より、コンタクトセンターでの「生成AI」の活用に向けたさまざまな検証を行ってきた。

その延長として、今年6月、ユーザー企業参画型プログラムの「生成AI Co-Creation Lab.」を始動した。これは「生成AI」と「人」のハイブリッドコンタクトセンターを目指し、参加企業と連携して、「生成AI」の活用事例を創出する共創プロジェクトだ。

「生成AI」活用を進めたいがどう進めたらよいかわからないユーザー企業と、構築経験はあるもののコンタクトセンターの業務知識がなく実運用での提案が難しいベンダー企業との間に、コンタクトセンター実務を理解し、豊富な経験がある当社が介在することで価値提供ができると考えている。

AI技術も日々、進歩しているため、ユーザー企業の課題やニーズを把握し、さまざまな技術を持つベンダー企業とコラボしながら解決策を提示していくことで「生成AI」の新たな事例を生み出していきたい。最終的には、「人」で対応するべき領域と「生成AI」に任せることができる領域の境界線を明確にし、最適なハイブリット体制を構築していく。

当社が今後、売り上げを大きく伸ばしていくには、ビジネスモデルの変革が必要であり、人が増えなくても売り上げが伸びる仕組み作りが必要と考える。コンタクトセンターの「生成AI」活用により、これまで当社が培ってきた運用知見を企業が自社運営するセンターへもソリューション展開することができる。これにより、新たな市場への事業領域の拡大につながると考えている。


認知拡大の方法は?


──「生成AI Co―Creation Lab.」の認知拡大方法は。

リリースを出してから複数の企業から問い合わせをいただいている。「生成AI」の本格導入に向けてというよりは、自社の現在地の確認や「生成AI」に関する情報収集を行いたいという企業が多い印象を受ける。

その他には、3年半前に開設したオウンドメディア「コンタクトセンターの森」で「生成AI Co-Creation Lab.」に関する情報や生成AI活用のヒントになるような情報を発信して、ラボの認知拡大に努めている。

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