テレビ通販大手のQVCジャパン(本社千葉県、伊藤淳史CEO)は、本社の6階にコンタクトセンターの部門を構えている。顧客対応のこだわりについて、カスタマーサービス&エクスピリエンスの秋山典子ディレクターは「生産性と品質を重視している」と話す。最後まで電話で対応するケースと迅速に購入までを完結したいケースを見極め、常に顧客にとって最適な対応を心がけているという。
QVCジャパンはインバウンドの電話注文に対して、自社のコンタクトセンター部門で対応するのに加え、一部をコンタクトセンター企業へのアウトソーシングで対応している。
コンタクトセンターでは、「生産性」と「品質」の両軸で高いレベルの実現を目標としている。
「生産性」はオペレーターの対応時間を指す。なぜ生産性の向上に注力しているかについて、「テレビ通販という特質上、入電数のアップダウンが激しいという課題がある。入電数が多くなったとき、オペレーターに『すぐ来て対応して』と出勤を要請するのも無理があるし、体を二つにして対応するのも無理なので、どうしても対応に限界がきてしまう」(秋山ディレクター)と説明する。
そこで、同社はオペレーターにかかってくる1件当たりの電話の対応時間に一定の水準を設けることで、可能な限りコンタクトセンターにかかってくる電話に対応できるようにしているという。
「ここで勘違いしてほしくないのは、電話の応対時間に一定の水準を設けるといっても、購入を決めきれないお客さまに無理矢理、即決を求めたり、電話対応を途中で止めたりはしない。悩んでいる人には最後まで対応し、購入をすぐ終わらせたい人には、必要事項などをヒアリングして、購入までをスムーズに終わらせることを意識している」(同)と強調する。
商品の購入で悩んでいる人に対しても、”購入を後押しする”会話を通じて、購入時間の短縮化を目指している。
「例えば赤色の洋服が良いか、黒色の洋服が良いかで迷っている際、『黒色だったら1年中、季節に左右されることなく、着用できますね』などとアドバイスをしている」(同)と話す。
コンタクトセンター業界では、「生成AI」活用の話題が尽きない。QVCジャパンは現在、「生成AI」を導入していないが、今後、「生成AI」や「ボイスボット」の導入を検討するという。
「現在、『IVR』で商品の注文が完結しているケースが多い。電話注文では最初、全て『IVR』で受け、そのまま『IVR』で完結するケースもあれば、オペレーターにつなぐケースもある。商品番号や色、サイズが分かったり、サイズ規定がない日用品であれば『IVR』で完結できる。今後、どのような機能があれば、当社の顧客にとって便利なのかをいろいろと見極めて検証し、『生成AI』や『ボイスボット』の導入を検討していきたい」(同)と話す。