山口社長は顧客対応のこだわりについて、「ハルメクではシニアの方が顧客のため、通話時間を無理に追わなかったり、シニアの方特有の顧客対応を実施している」と話す。
センターは国内4拠点で、秋田、東京、大阪、鹿児島で運営している。在宅勤務も導入しており、柔軟な働き方に対応している。
「在宅勤務を導入していることも起因し、年々定着率は改善されてきている。働くスタッフは年配の女性が多い。センター勤務だと子どもの関係や親の介護などで仕事を続けられなくなる方もいる。そのようなとき、在宅勤務なら時間を調整して働くことができる」(山口社長)と語る。
ハルメク・ビジネスソリューションズがコールセンターとして対応する「ハルメク」の顧客はシニア層が多い。そのため、どれだけシニア層に寄り添えることができるかが鍵を握るという。
「電話をかけてきた人がクレジットカードで決済しようとしたとき、やはり年配の方は『クレジットカードをどこにやったかな』と隣の部屋に探しに行ったりする。そんなとき通話時間に制限を設けていては、満足いく顧客対応は実現できない」(同)と話す。
さらに山口社長によると、シニア層には独特の表現があるという。
「『ごめんね、商品一つしか購入しなくて』と言われる場合もある。そのとき、なんて返答するかが大切なのだ。咄嗟にどんな一言が出るかが大事だ。その部分をみんなで共有し、きちんとした顧客対応を実施できるように注力している」(同)と話す。
好調ゆえの課題
ハルメクホールディングスの2024年4‐6月期のハルメク事業における売上高は、前年同期比11・0%増の69億4200万円だった。業績が好調ゆえ、注文も多く入り、対応が追いつかないときもあるという。
「どう入電数を減らせるかが課題だ。電話が鳴っていても出ないということではなく、チャットボットやLINEを活用して、デジタルで解決ができないかを考えている。簡単な問い合わせはデジタルで対応し、一方で人の対応精度を磨いていくことも重視している」(同)と話す。