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2024.11.07

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【<コンタクトセンター特集> 通販企業の顧客対応最前線 <インタビュー>】 <応対品質向上策を聞く> ベルーナ カスタマーサービス本部 伊沢秀幸部長 「コンクール出場で全体のスキル・意欲を向上」

伊沢秀幸氏


通販大手のベルーナは自社の通販事業のコールセンター6拠点に加え、外部企業の顧客対応業務を受託するコールセンターを3拠点展開している。約1400人の従業員に行動指針を徹底するとともに、柔軟に働ける環境を提供し、定着を図っている。3年前から「電話応対コンクール」に注力し、埼玉では3年連続で優勝した。大会出場は、参加者だけではなく、他の従業員の意欲向上やスキルアップにもつながるという。カスタマーサービス本部の伊沢秀幸部長にコールセンターの強みや注力点について聞いた。



クレドがベースに


──コールセンターの体制は。

子会社のベルーナコミュニケーションズに、顧客対応を行うオーダーレセプション部があり、約940人の従業員がおります。埼玉に5拠点、千葉に1拠点のセンターを構え、総合通販やグルメなどの受注・問い合わせに対応しています。

受託事業を行うテレマーケティング部は、約450人の従業員がおります。センターはここ1年間で1拠点増え、埼玉に3拠点の体制となっています。

合計すると全9拠点のセンターがあり、約1400人の従業員がおります。

──コールセンターの強みは。

ベースとなっているのは「親しみやすいコールセンター」というクレド(従業員が心がける信条や行動指針のこと)です。その中に、(1)感謝(2)共感(3)安心感(4)積極性─の四つの行動指針を掲げています。従業員はこのクレドを頭に入れ、お客さまに寄り添うことを第一に日々の業務に取り組んでいます。

ベルーナグループとして大切にしている価値観やコールセンターの方針についてまとめた手帳も従業員に配布しています。

手帳は研修でも使用しますし、業務を開始してからも朝礼やミニミーティングなどでも日々、確認しています。短時間で従業員に共通認識を持っていただくのに貢献しています。

従業員の働きやすい環境作りにも注力しています。それぞれの働き方やライフスタイルに合わせて柔軟に働けるようにしています。

オーダーレセプション部のセンター長は、全てパート出身者です。パート・アルバイトさんの気持ちを理解した方が管理者となっていますので、従業員と同じ目線で職場環境や人間環境に配慮しています。

シニアの男女別に心得


──手帳に書かれていることで特徴的な点は。

当社のお客さまは60代以上のシニアの方が多いということもあり、シニアの男性と女性のそれぞれに向けた、「応対8ヶ条」を掲載しています。

特に男性のお客さまに対して、女性のオペレーターが身構えてしまうことがありますので、どういったことを心がけると良いのかを分かりやすく伝えています。

ペルソナを作り、オペレーターの経験があるセンター長たちが作成しました。

──商品知識の習得はどのようにしていますか。

商品の知識の習得については、基本的にeラーニングで、それぞれの従業員のペースで学べるようにしています。ここ2年間ぐらいでeラーニングの仕組みを作り込みました。

管理者や教育担当が複数人に対して教育する場合、どうしても従業員ごとに理解度が異なってきますので、個別に学べる体制にしています。

従業員の経験値やスキルにもよりますが、少なくとも二つ、多い人では九つの商品カテゴリーに対応できています。

新聞折込やチラシなどの販促物についても、以前は手元に実物を置いていましたが、今はオンラインで確認できるようにしています。紙を探す手間を減らしています。

埼玉大会で3年連続優勝


──従業員のスキルやモチベーション向上のために取り組んでいることは。

3年前から、公益財団法人日本電信電話ユーザ協会が開催している「電話応対コンクール」に向けた取り組みを強化しています。埼玉では3年連続で優勝し、埼玉代表として全国大会に出場しています。千葉でも昨年は優勝し、今年は準優勝でした。

「電話応対コンクール」に向けて、従業員がトレーニングを続け、結果を出しています。発生や声質も練習するのですが、特に重要なのが会話の間や相手の心情を読み取る力になります。そこを意識して研鑽を積んでいます。

普段の業務ですと、どうしても効率的な応対を意識しますが、コンクールでは応対の質を磨く必要があるので、また違った学びがあります。

「電話応対コンクルール」の結果は、他の従業員の刺激にもなっています。コンクールに参加して、スキルを上げた従業員が、今度は教育係になりますので、教育のレベル向上にもつながっています。

カスハラ対策を強化


──ボイスボットや生成AIなどのテクノロジーの導入は検討していますか。

近い将来、そういったテクノロジーは必ず必要になると考えています。現在は過渡期だと思います。当社はシニアのお客さまも多いので、オペレーターの対応を重視していますが、カタログ請求など目的がはっきりとしている問い合わせには、ボイスボットなどで対応し、つながりやすさを向上した方が顧客満足度は高まると思います。目的に応じて選べるようにするのが得策だと思います。当社も情報収集や検討しています。

──新たに強化している取り組みはありますか。

昨年12月、カスタマーハラスメント対策のガイドラインを作成しました。当社よりも先にガイドラインを作成した会社に話を聞いたり、他社と情報交換したりしながら作成しました。

そのガイドラインを基に、各センターで対応を進めています。特に管理者の育成に取り組んでいます。しっかりと対策を取ることで、オペレーターを守ることにもつながりますので、重要な取り組みだと考えています。

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