昼夜問わず問い合わせがあるにもかかわらず、以前は応答できるのが営業時間のみだったことに課題を感じていたという。
「お客さまが質問したいと思う時間帯と、こちらが答えられる時間帯にギャップが生まれていた。お客さまの満足度向上に向けて、24時間対応をしたいと以前から思っていた」(国際ブランド営業部 国内推販グループ長 新規事業担当・榊原隆之氏)と話す。
AI導入の結果、有人対応ができる時間帯でもAIを選ぶユーザーが一定数いることが分かった。「すぐに答えがほしい」「とりあえず質問だけしたい」など、ユーザーのさまざまなニーズに気付くきっかけとなったという。
「運営側の効率化のためでなく、お客さまをより深く知る手段としてAIと付き合っていくべき」(同)と話す。
チャネルトークのAI「ALF」を活用している。「ALF」はチャネルトーク内の「ドキュメント」と「FAQ」の内容をもとに回答する。より複雑な質問にも答えられるよう、コンテンツを増やしている。今年9月には正答率が約15%だったが、およそ1カ月後には約80%になったという。
有人対応も重要視
店舗での販売から事業をスタートした同社は、有人対応にも変わらず注力している。
「お客様相談窓口」として自社でコールセンターを運営しており、店舗経験者・社内の実務経験者を配属している。電話口でも顧客に寄り添う対応が強みだ。
「『お客様相談室』としての新規採用は行っていない。現場経験や商品知識が必須だと考えている。中でも、電話の向こうにいる相手の気持ちをくみ取って対応できる人を配属している」(同)と話す。
店舗での実務経験者を配属しているが、配属前には改めて教育を行っているという。
「商品知識のおさらいと、電話とチャット対応の研修を行う。テンプレートを覚えてもらうのではなく、あくまでトンマナを押さえてもらう。薬事法に抵触しない表現についても随時研修を行っている」(同)と話す。
問い合わせの内容は、店舗対応についての意見と、商品の問い合わせが半々くらいだという。複数のブランドを展開しているため、ブランドごとに電話番号を分け、各ブランドの担当者を振り分けている。
指導者側も実務を
榊原氏はカスタマーセンターに寄せられる声を、マネジメント層がきちんと当事者意識をもって受け止められるかも重要だとしている。
「そのためには指導者側も定期的に電話やチャットの対応をしたりするべきだろう」(同)と話した。