世の中のトレンドは常に変わっている。今までと同じような教育方法では、時代の流れに対応できない。
「今、担当しているクライアント企業の運用をいかに効率化できるか、このことを追求して考えていかなければいけない。データを分析して、何かご提案できることはないか。このことをスーパーバイザー(SV)がどれだけ意識して、どこの部分をDXできるのかを考える必要がある」(大野本部長)と話す。
ビーウィズでは昨年、教育用のコンテンツを30個ほど作成し、SVへの理解浸透を目指した。
「『DXって何?』というところから、当社の『Omnia LINK(オムニアリンク)』を含めたプロダクトの説明、テレフォニー、在宅勤務などを学べるようにしている。地道と思われるかもしれないが、まずはネットワークやコンタクトセンターとしての知識がないとDXと言われても提案できないと思うので、現在、教育に力を入れている」(同)と話す。
DXの成功事例は?
クライアント企業でコンタクトセンターのDXに関する事例は出ているのだろうか。
「クライアント企業の声を聞くと、やはりさまざまなDXには着手したいが、『知識がなくて難しい』や『不安』などのお悩みを聞くことが多い。そうなると先ほども申し上げたような教育が非常に大事でSVがどれだけ知識を持って具体的な提案ができるかにかかってくる」(同)と話す。
その中でも、近年、水宅配の企業においては、チャットと電話の両軸で顧客対応し、コール比率の低減につなげているという。
「お客さまが商品を購入するのに悩まれない商材を扱っている場合や提案をすることが少ない場合だと、チャットの比率が高くなる傾向がある。水に関しては、アプリで簡単にお届け周期を変更できるため、問い合わせを減らすデジタル化に成功している」(同)と話す。
通販での事例は?
通販での事例はどうなのか。ビーウィズは化粧品や健康食品の通販企業に精通しており、「取り扱い商材や高い年齢層の顧客層を考えると、まだまだ電話での応対が多い。DXはうまく取り入れられておらず、どちらかというと人の教育に力を入れて、人材の強化を目指している」(首都圏オペレーション本部首都圏第2事業部首都圏第2ユニットマネージャー・飯教子氏)と実情を明らかにする。
▲首都圏オペレーション本部首都圏第2事業部首都圏第2ユニットマネージャー・飯教子氏
人材の教育については、電話をかけてきた人の潜在的なニーズを掘り起こすことを意識している。アップセルやクロスセルの方法に関しても、トークの研修を実施しているが、押し付けがましくないようなトークの仕方を教えているという。
「潜在的ニーズに関しては、こちらからその商品を購入しようと思った理由などを掘り下げていくことで、本当はお客さまが申告された商品であるAの商品ではなく、Bの商品がいいのではないかと気付くようになる」(飯ユニットマネージャー)と話す。
まだ「生成AI」では、リアルタイムの会話の中で深掘りし、潜在的ニーズを発掘し、最適な商品を提案することは難しいようだ。
「当社も『Omnia LINK』において、『生成AI』を活用した要約機能を搭載した。通販では、CRMと受注システムなど複数システムに同じことを記録することが多いため、要約機能には注目いただいている」(大野本部長)と話す。