消費者庁は11月13日、大正製薬に対し、景品表示法に基づく措置命令を行った。同社が供給するサプリメント「NMN taisho」の表示に、景品表示法違反があったという。同法第5条第3号(ステルスマーケティング告示)の該当が認められたとしている。ステマに対する措置命令は3件目。”商品(健康食品)”としては、ステマによる初の処分となった。
「NMN taisho」は2023年3月に発売した商品。販売個数は1万5000個で、売り上げは約4億円(今年4月30日時点)だとしている。価格は単品購入の場合、1箱税込3万2184円(定期購入などの購入条件によって価格は変動)だという。
表示媒体は、大正製薬の自社通販サイト「大正製薬ダイレクトオンラインショップ」だという。表示期間は2024年4月3日、同月19日~5月22日の間だとしている。
大正製薬は、広告代理店経由で、インフルエンサー3人に、条件を提示して「NMNtaisho」に関する投稿依頼を行ったという。依頼したインフルエンサーのフォロワー数は、1万~3万人程度だという。インフルエンサーには「NMN taisho」1箱を無償提供したとしている。投稿後、約1万円の報酬を支払ったという。
インスタグラムの投稿にはPRの表記があったため、インスタグラムの投稿自体をステマと認定した事案ではないとしている。
「ステマ表示」とされたのは、依頼したインフルエンサーのインスタグラムの投稿を一部抜粋して、自社ウェブサイトに転載した際、PR表記のない表示を行ったことだという。
自社サイトの表示は、大正製薬が当該第三者に対して依頼した投稿であることを明らかにしておらず、表示内容全体から一般消費者にとって、”事業者の表示”であることを判別することが困難であるとして、景表法違反に当たると判断したとしている。
消費者庁が同社に行った措置命令の概要としては、①景表法違反であることの一般消費者への周知徹底②再発防止策の実施と、役員・従業員への周知徹底③将来不作為(今後、同商品・類似の商品について、本件表示と同様の表示を行わないこと)——の3点だという。
大正製薬は公式サイトにおいて、「当社は、今般の措置命令について厳粛かつ真摯に受け止め、今後、従業員に対し研修を実施し、また広告掲載前の社内確認を徹底する等の広告管理体制をより一層強化し、再発防止に努めてまいります」とコメントを発表している。