「ビーサポ!」で笑顔増す
照子さんが藤本選手の推し活をスタートしたのは約2年前だった。施設が「ビーサポ!」の取り組みで、地元のサッカークラブ「ヴィッセル神戸」の応援を始めたときに、サッカーが分からなかった照子さんも、みんなと観戦するようになったという。
ヴィッセル神戸の選手たちの写真を見た時に、藤本選手の写真を見て、「かわいい、かわいい」とファンになったのだそうだ。
それまで照子さんは、施設のスタッフや、他の入居者と、積極的にコミュニケ―ションを取るタイプではなかった。60歳まで立ち仕事をして過ごすことが多かったせいか、施設でも座らずに、立って過ごすことが多かったという。
「ビーサポ!」で藤本選手の推し活を始めてからは、周囲との交流が増え、笑顔が増えていったという。藤本選手の話をすると「大好きやねん」と嬉しそうに話しているそうだ。
疲れ知らずの道中
照子さんは9月28・29日、ヴィッセル神戸から鹿児島ユナイテッドFCへと移籍した藤本選手に会いに行くために、鹿児島へと向かった。
もともと鹿児島県出身の照子さんは、「鹿児島はええとこや。のり君がいるから鹿児島に行きたい」と話していたそうだ。
オリンピア兵庫では、照子さんの夢をかなえるべく、クラウドファンディングで、照子さんが鹿児島へ行く資金の応募を行った。目標金額を20万円に設定したところ、24万円の応募が集まったそうだ。クラウドファンディングの情報発信には、藤本選手も協力したという。鹿児島ユナイテッドFCのサポーターらが、応援に参加したそうだ。
9月28日、照子さんは藤本選手の試合を観戦し、藤本選手と面会を果たした。照子さんは、飛行機の長時間の移動にもかかわらず、疲れた様子を見せることなく、試合を90分すべて観戦した。藤本選手も得点に貢献し、鹿児島ユナイテッドFCは12試合ぶりに勝利したという。
▲照子さんと藤本選手の交流会の様子©KAGOSHIMA UNITED FC
試合後に藤本選手に面会した照子さんは、涙を流して喜んだという。「好きやもんしゃーない」と話したそうだ。
帰りの飛行機でも、照子さんは疲れる様子もなかったそうだ。旅の途中、名物の黒豚とんかつとさつま揚げを元気に食べていたという。
本紙の取材に対し、照子さんは、「これからものり君を応援したい。また会いたい」と話していた。
「ビーサポ!」とは…サントリーウエルネスが取り組んでいる「ビーサポ!」は、参加する高齢者に、サッカークラブや地域を支える存在になってもらおうという取り組み。サポーターになることにより、人とのつながりが生まれる。日々の生活を元気に過ごすきっかけにしてもらおうという狙いがあるという。現在、全国の約230施設延べ1万人の高齢者が参加しているとしている。