次世代型太陽電池「ペロブスカイト」を軸に、再生可能エネルギーの導入の拡大と地域共生を目指すものとしていく。
3種類のイオンがペロブスカイト結晶構造で配列する材料を発電層に用いた太陽電池の総称。2009年に誕生した当時の発電効率は3~4%だったが、2024年11月現在は26.7%に向上した。技術向上とともに、次世代型太陽電池として期待されている。
現在、日本で普及している従来の太陽光発電(シリコン型)とは形状やサイズ、重量などが異なる。ペロブスカイト太陽電池は、「フィルム型」「ガラス型」「タンデム型(ガラス)」といった形状がある。軽量で柔軟であることから、高層ビルや住宅の窓ガラスなど設置が困難だった場所にも取り付けが可能となる。
現在は建築物の屋根や建物壁面、建材一体型、IoT機器などの用途が考えられている。再エネ導入拡大の弾みになるとみられている。
電池の開発力について「次世代型太陽電池戦略(案)」の資料によると、「フィルム型」は耐久性や大型化などの技術が世界をリードするポジションにあるという。実用型の開発が進んでおり、来年度から先行して一部の企業で事業化が始まる予定だ。
ペロブスカイト太陽電池の量産化が進めば、将来的には発電コストが従来の太陽光発電と同じ程度になるとされている。
「フィルム型」や「建材一体型」は、自由度の高い施工や運搬が可能であり、施工や運搬、回収などを含めたシステム全体で付加価値が創出され、競争力を高めていく余地が大きいとみられている。
コストは1キロワット約15円
「次世代型太陽電池戦略(案)」では、需要推計や発電コストに関する内容も記された。
推計は製造側の試算に基づいており、まずは屋根から導入を始め、発電コストの低下に伴い、垂直面である壁面や窓への導入も見込まれるとした。
一方、実際の導入量と潜在的な需要量には乖離(かいり)があるとした。発電コストが高い段階では、導入量が限定的となる可能性も指摘した。
発電コストは、協議会に参加する太陽電池メーカー6社のコスト見通し、事業用太陽光発電の23年に設置されたFIT案件の定期報告をもとに想定すると、発電コストは1キロワットあたり15円台半ば(政策経費除く)になる見込みとした。
今後の進め方としては、25年以降に年数百メガワットの生産体制を整えつつ、海外展開を視野に入れて国内市場から普及を進める。
2030年以降の中期からは、年約1ギガワット以上の生産体制とし、価格も1キロワットあたり20円から14円にする。2040年以降は、水準を自立的にして価格を1キロワットあたり10円から14円以下にしていく長期目標が示された。
他にも、製品の技術やリサイクルの確立などの検討が進められている。今後は補助金に関する動きもさらに進んでいく可能性がある。