テレビショッピング番組「Shop Japan(ショップジャパン)」を放送するオークローンマーケティング(本社愛知県、ロバート・W・ローチ会長兼社長)は今期(2025年3月期)の通期業績について、増収増益で着地する予定だという。浅野茂樹本部長は「前期は人件費やオフィス賃料など固定費を抑え、筋肉質な体制を整えた。今期は新商品の販売も好調で増収増益になると予測している」と話す。浅野本部長に今期の振り返りと今後の展望について聞いた。
――今期を振り返ってほしい。業績で見ると、V字回復している。やはり、2022~2023年にかけて、会社の構造改革に着手したことが大きかったと思っている。固定費を見直した結果、効果が現れ始め、今期に入り、毎月利益を確保できるようになった。
固定費の見直しと同時に、メディアの購入の仕方も再考した。昔からデータに基づいて、番組枠の購入を行ってきたが、今はもっと細かく分析している。1枠ずつ分析して、不採算の枠がどれなのか、逆に採算が取れている枠がどれなのかを見極めて、優良な枠のみを手元に残している。
現在、優良枠を多く保有しているため、顧客のレスポンスもよく、効率良くテレビショッピングを放送できている。
――海外で人気商品を仕入れていると思う。以前の取材でコロナ禍では海外で人気な商品を仕入れるのが難しいと話していたが、現状はどうか。 海外の状況も落ち着き、現在、海外の人気商品を仕入れることができている。
今期は新商品を多く販売できた。その中でもコードレスハンディークリーナー「インビクタスワン」、豆乳メーカー「ソイリッチ」、内転筋を鍛える器具「マイキュット」の販売が好調だった。自社ECサイト、テレビショッピング、新聞広告、小売店舗で販売した。
――2024年の夏は酷暑で、秋冬もなかなか寒くならなかった。酷暑、暖冬の影響は出ているのか。夏には、商品で言うと、小型クーラーの「ここひえ」を想定以上に販売できた。2024年夏の「ここひえ」の販売数は前年と比較して約50%増だった。
2024年の夏は酷暑だったため、消費者は家の中でどのように快適に過ごすことができるのかを考えていたと思う。そのため、「ここひえ」だけではなく、定番の夏商品の売れ行きも好調だった。
――貴社の商品は海外から仕入れるため、円安は大きな問題だと思う。実際の影響はどうか。円安が当社の利益を押し下げている要因になっている。これまでの基準で考えると、1ドル110~120円の間だと円滑に事業を推進できるが、今年は1ドル150~160円の水準になっている。
だからといって、その分を商品の価格に転嫁することは難しく、当社のファイナンス部門と連携して、物流面やパッケージを見直して、社内で為替の影響を吸収できるよう取り組んだ。
具体的には、物流会社と連携してコストを下げられるところはないかを探った。パッケージに関しては、160サイズで送っていた商品を140サイズで送れないかを調整した。
――2025年の展望について伺いたい。引き続き海外の人気商品を仕入れ、新商品として多くて販売していきたい。既存の商品についても、市場環境を見極め、消費者に求められる商品を販売していく。
当社の人気商品である寝具「トゥルースリーパー」においても、マットに引くタイプは、市場の成長が鈍化している。一方で、ベッドマットレスタイプの市場は成長しており、当社としてもベッドマットレスの販売に力を注いでいきたい。
――ベッドマットレスは先行企業がいる。さらに単価も高い。どう他社と差別化を図っていくのか。ベッドマットレスタイプの商品は安くない。ただ、そこはテレビショッピングという性質を生かし、視聴者に商品の良さを伝えていくことができる。さらに商品を販売するだけではなく、販売後、商品を購入者宅に配送して設置したり、設置するときに出る緩衝材を持ち帰ったりと、購入後までをサポートするフルサービスを提案していきたいと思っている。フルサービスは来年にもローンチする予定だ。