主力商品「宝寿茶」がショップチャンネルなどで人気を集める宝寿園(本社東京都)は、2024年7月期の売上高が前期比17.0%減の3億6400万円となった。好調だった前年売上の反動などから減収となったが、自社ECサイトの改修やOEM展開も準備が進んでいる。「宝寿茶」が長く売れている要因などについて、倉持有二会長、倉持順一社長に聞いた。
──2024年7月期の減収要因は。順一社長:2023年が大変好調だったことと、自社ECサイトの改修を優先的に行った分、広告を打ち出せず、減収となったが、これは想定内の結果となる。
──「宝寿茶」がロングセラーを続ける理由は。
有二会長:「宝寿茶」の魅力は、ドラッグストアなどで買えるわけではない点にもある。
料理人として店で商売を行ってきたので外販や通販の経験はなかった。しかし、お客さまから「ありがとう」と言ってもらえることに誇りを持つのと同じ気持ちで「宝寿茶」を作り、価格で勝負するような売り方はしてこなかった。紙面でもテレビでも商品のことを深く取り上げてもらい、お客さまに納得して購入してもらっている。通販は接客に近いと感じている。
──接客の感覚は通販番組の出演にも生きているように見える。有二会長:番組の冒頭で必ずリピーターの数を提示するようにしている。その後、老舗料亭の料理長であるという自己紹介を行う。製造のストーリーやお茶をいれる様子などを紹介し、新たなお客さまにも納得して購入してもらうようにしている。
今は1時間番組が多いが、20分番組からスタートした。当時担当してくれていたショップチャンネルのバイヤーは、「宝寿茶」をいい物と見極めてくれた上で、「おそらく放送の予算は達成しないだろう。こういう商品は地味だけど、じわじわファンが増えて大化けする」と話してくれた。それからずっと出演が続いている。短い時間でも説明に納得して購入してファンになってくださる人がいる。その積み重ねで今がある。
「親子3世代で飲んでいます」といった手紙をもらうこともある。最近は番組放送中のメッセージ投稿で「あなたの元気な顔を見て6セット買いました」と送ってくれる人もいた。こうした感想にリアクションしながら番組を進めることで、初めてのお客さまの背中を押す結果になっているのかもしれない。
ショップチャンネルのカリスマゲストとして21年目。料理人という肩書きが信用につながっていると思う。順一社長も一緒に出演しながら引き継いでいきたい。
──バイヤーとはどんな連携をとるのか。順一社長:まずは販売のセットについて相談をする。過去の放送で在庫になったピンクとブラウンのマグカップを、選べるようにして販売したところ、多くの購入につながった。これは能動的にバイヤーに提案して得られた好例となった。
商品に対する熱量が高いバイヤーだと、番組のディレクターにカメラカットの提案をしたりしてくれる。連携は密にとっていかなければと考えている。
──2025年の計画は。 順一社長:自社ECサイトについては、カートシステムを入れ替えて、BtoCを強化する準備ができた。これまであまり実施してこなかった媒体でも広告を打ち、集客につなげていきたい。
「宝寿茶」のブランディングも進めていく。旅館やラグジュアリーホテル向けのOEMにも力を入れていく。