組織力が試される
──24年を振り返ると。
外部環境の変化なども影響して例年になく忙しい状態が続いた。物価やガソリン代、金利など、あらゆる部分が上昇した1年でもあった。
当社の事業領域においては、電気代高騰などがフックとなって業績が好調に伸びる会社がある一方で、そうでない会社もある。電気代高騰を背景にした営業の反動がどこかで出るだろうと予想はしていた。
こうした状況下での売り上げ確保は、コロナ禍と同様に、組織力が試される。営業トークの再構築から実装までのスピードも同様だ。
引き続き、経済や外部環境の変化は続くだろう。変化に対応するだけでなく、それをすぐに実行できる会社にしていく必要があると感じている。経営の難しさを変化の激しい時代だからこそ身に染みることもある。
業界内では廃業やM&Aに関する相談が多くなった。それだけ時代が変化している証拠だろう。
──逆に良かったと感じた施策はあるか。
毎年1回、決起総会を開催している。これは、会社や各部署の方針発表、表彰などを行う場だ。これ以外に総会を年1回行うのだが、今年は9月に早々に実施した。総会後、全体的に調子が悪かった売り上げが回復した。改めて、顔を合わせることが非常に重要だと認識できた。
振り返ると、当社はここ数年で会社を一気に成長させる方針で進めてきた。従業員は相当数増え、誰がどこの部署で何をやっているのか、何を目指して仕事をしているのか分からない状態で事業が進んでいた可能性がある。
人が軸となる当社にとって、社員同士の交流がなければ、総合力が上がっていかないことに気付いた。
レベルアップが命題
──決算も間近だが、改めて来期の戦略は。
役職者と幹部メンバーのレベル上げだろう。この1年で広域に支店展開し、DXやアライアンスなどいろいろなスキームや事業も進んでいる。ダイレクトセールスも含むが、さまざまな事業を展開している以上、マネージャークラスのレベルアップは命題だ。
これまでは、当社の一つの特徴でもある仕組み化を強化して事業を拡大してきた。ここからは、仕組みに加えて、一人一人の能力も必要となるフェーズになる。逆を言えば、仕組み化することでここまで成長していけることが分かった。
さらに、教育レベルを高めつつ、短時間でできるようにしていく必要もある。来年は、売り上げよりも教育を軸とする動きに注力していく予定だ。当然、売り上げが減っても良いというわけではない。ただ、長期的な成長を見据えて教育をより強化していく覚悟が必要だ。
正直、2025年1月期の業績は計画の未達が現時点で確定した。売り上げは、昨年と横ばいでの着地となるだろう。製品の値上げを行いながらも、売り上げが確保できたのは、営業の強さが光った証拠で、これはポジティブに捉えている。収益構造もよくなった。
前述した通り、当社はダイレクトセールス以外にもリフォームやアライアンスなど、さまざまな事業を展開している。
最近はリフォームの売り上げが伸び始めた。ただ、これは営業社員のリソースを水平展開することで成果を挙げらたのであって、優秀な営業社員の獲得や育成が必須となることを改めて理解することができた。
来年は教育強化と役職者のレベルアップを図り、組織的な成長ができる体制をしっかりと構築していく。