若手社員が起案
同製品は、新規事業コンテストにおいて、当時入社2年目の社員たちが起案したアイデアがきっかけで誕生したという。発表会では、起案メンバーの一人であるファンケル総合研究所・研究員の山田優里菜氏が登壇し、製品開発の背景を語った。
背景には、山田氏を含む若手従業員の幼い頃の経験があったという。山田氏は、「子どもの頃、スキンケア習慣を学ぶ機会がなかった」「子どもの頃からスキンケア習慣を持つことで、将来の肌不調に後悔する人を一人でも減らしたい」という思いがあり、社内で子どもに向けたスキンケア製品のプロジェクトを立ち上げたと説明した。
子どもにスキンケアは必要?
同社によると、小学生のスキンケア利用率は約2割で、「スキンケア空白地帯」であるとしている。小学生にスキンケアは必要なのだろうか。
子どもの肌に関する知見を得るために、機器による測定や、独自の肌測定方法「角層バイオマーカー」を用いて、幼児期から思春期にかけての肌の調査を実施したそうだ。
調査の結果、プレ思春期(9歳~12歳)の小学生の肌は、「外見上きれいに見えても、バリア機能が低下しており、乾燥しやすく、水分と油分のバランスが悪くてトラブルが起きやすいことが判明した」(山田氏)という。「大人の肌と比較すると、小学生以下の児童の肌は水分量が3分の1、皮脂量は5分の1程度と、非常に少ないことが分かった」と語った。
肌の水分・油分が不足すると、バリア機能が低下し、ダメージを受けやすい状態になってしまう。紫外線などによる酸化ストレスも受けやすくもなるという。
▲小学生のためのスキンケアシリーズ「クリアアップ」
抗酸化力が低い
肌の炎症を抑える働きを持つ抗酸化たんぱく「DJ-1」の角質層の量を測定すると、小学生以下の肌は、大人の肌と比べ、「DJ-1」の量が非常に少ないことが判明したそうだ。抗酸化力が低く酸化ストレスのダメージを受けやすいため、抗酸化力を補うケアも重要なのだという。
「思春期には皮脂量が急激に増加し、水分・油分のバランスが乱れ、ニキビができやすくなってしまう」と話す。皮脂が増加する年代からスキンケアをすれば、肌を整え、肌不調の予防につながることも分かったという。 山田氏は、「小学生の肌にとってスキンケアが非常に重要だが、一方で、小学生に特化した製品はなく、現状は低刺激な大人向け製品やベビーラインで代用することが主流」と指摘する。
小学生の肌状態に特化
同社では、小学生の肌状態に特化した製品が必要だと考えているという。具体的には、水分と油分を守りながら優しく洗う「洗うステップ」、水分・油分に加えて抗酸化力も補う「潤すステップ」、こまめに塗りなおすことで紫外線ダメージから肌を守る「守るステップ」が重要であるという。
「クリアアップ」シリーズは、そうしたポイントを網羅しているという。今回「クリアアップ 泡洗顔料<医薬部外品>」と「クリアアップ ジェルミルク<医薬部外品>」を展開。今春には、「守るステップ」に対応する、日焼け止めも発売する予定だとしている。
小学生の意見を反映
「子どものスキンケアの習慣化」を目指し、小学生自身が使いやすいものにできるように開発を行ったという。同製品には、私立桐蔭学園小学校の児童の意見を反映している。発表会には児童が登壇し、製品開発での取り組みや、肌の悩み、製品を使った感想、スキンケアの重要性などについて発表した。
容器は、「キッズフレンドリー設計」になっている。倒れにくく、押しやすい容器を採用するなど、簡単に楽しくスキンケアが続けられる工夫を行っているそうだ。