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2025.01.17

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【 <スペシャル対談>】 <ヘルスケア企業の2人のホープが語る> 白寿生科学研究所 原浩之社長×ファミリーイナダ 稲田壮秀社長 次世代の自立型組織へ

原浩之社長(写真右)と稲田壮秀社長


マッサージチェアメーカーのファミリーイナダでは6月、稲田壮秀氏が、父の二千武氏から引き継ぐ形で、社長に就任した。白寿生科学研究所の原浩之社長も、4年前に父の昭邦氏から経営を引き継いだ。2社ともに、60年以上続く老舗のヘルスケア企業だ。社内の構造改革を行い、自立型の組織へと変えていっているという。原浩之氏と稲田壮秀氏に、家庭用医療機器業界の未来について語ってもらった。



商品開発と組織改革


──二人はどちらも、父親から経営を引き継いだ。老舗の健康機器メーカーを背負って立つということに対する思いを教えてほしい。
 
稲田:私は、「老舗メーカーを背負う」という感覚は持っていない。「新しいマッサージチェア」とは何かを考えることが重要だと常に考えている。新しい商品を開発して、マーケティングをしていきたい。
 
私は中途でファミリーイナダに入社したが、父の経営の下では、理想のマッサージチェアを思うままに作るということができなかった。一度、ファミリーイナダを離れ、自分の会社を立ち上げ、マッサージチェアの開発や販売も行った。
 
ファミリーイナダに戻り、経営を引き継いだ今、独り善がりの製品は作りたくない。当社のマッサージチェアを使う人が、病院に行かなくてすむような製品を作っていきたい。
 
原:老舗企業であるということにこだわらず、お客さまのニーズに応えていきたいという思いは、常に強く持っている。
 
当社は、「ハクジュプラザ」というヘルストロンの体験会場で、当社の社員が、健康に関する情報提供を行い、「ヘルストロン」の提案を行っている。
 
当社の課題は、お客さまのニーズに対応できる提案型の社員をどう育成していくかだ。「ハクジュプラザ」は全国に約450店舗を展開している。高齢のお客さまと接点が多い。お客さまにとっても、「ハクジュプラザ」が社会接点になっている。社員の成長を図ることによって、お客さまのQOL(クオリティー・オブ・ライフ)が高まる。
 
先代社長のころは、トップダウン型で、昭和的な経営が求められていた。今は顧客重視で、社員の満足度を高めることも求められている。時代に合った経営を目指したい。
 

▲原浩之社長

稲田:ファミリーイナダも、組織の改革を実施しているところだ。父の稲田二千武は、いわばカリスマ経営者だった。本社だけでなく、工場の細部の決裁まで管掌することもあった。それによって、専門的部分で適切な対応ができないこともあったと考えている。
 
現在は、製品開発や物流、営業などの各部門が、自律的・機動的に動けるように、各部門の責任者に裁量権を与えられるようにしている。風通しのよい組織を目指している。


「セルフケア」の意識高める


──コロナ禍を経て、消費者の健康志向が高まっている。どう捉えているか。
 
原:健康志向の高まりを感じている。「ハクジュプラザ」に来店するお客さまも、日常に運動を取り入れる人が増えている。
 
これまで日本では、国民皆保険制度のおかげで、病気になった時の負担が少ないことから、「病気になったら病院に行けばいい」という考えの人が多かった。しかし、社会保障関係費の急増が国家財政をひっ迫する中で、いかに病気になる手前段階で「予防」するかが重要になっている。
 
「ハクジュプラザ」の販売員は、法律に則って表現可能な範囲を守りつつ、「ヘルストロン」のメリットについて訴えていく。
 
稲田:健康志向は高まっているが、一人一人の知識が足りていないと思っている。当社では、マッサージチェアの技術を生かした部分マッサージ機など、手ごろな価格で購入できる、自分でヘルスケアができる製品を作っていきたい。
 
原:医療機器メーカー1社で実現できることは限られている。(一社)日本ホームヘルス機器協会として、協力して「セルフケア」を訴えていくことも必要だろう。協会が推進する「健康増進機器」の認定制度についても、健康の知識の深まりにつながっていると考えている。

──健康機器メーカー同士の連携について聞きたい。

原:協会の中には、販売を主体としているメーカーもいれば、製品開発・製造に特化したメーカーもいる。
 
それぞれの強みを生かしていけば、伸ばせる部分もあるだろう。例えば、物流や原料調達、コンプライアンス強化など、さまざまな面で連携ができると考えている。オープンにできるところはオープンにして、コスト削減につなげたい。
 
稲田:その通りだと思う。協力できるところは協力したい。


▲稲田壮秀社長

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