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2025.01.22

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【ニュースの真相】PFASは浄水器でろ過できる? 活性炭で98%除去できる

発がん性が疑われる有害物質「PFAS(ピーファス、有機フッ素化合物)」は、家庭用の浄水器や浄水型ウォーターサーバーで除去できるのか。各メーカーは自社サイトで、提供している浄水カートリッジで、「PFAS」の代表物質である「PFOA・PFOS」を除去できる旨を表示している。(一社)浄水器協会はこのほど、活性炭をろ材とした浄水器で、「PFOS・PFOA」の浄水能力試験を実施した。その結果、「PFOA・PFOS」を98%除去できることが分かったとしている。
 
浄水器協会が実施した試験は、蛇口直結型浄水器と、水栓一体型浄水器の2種類を使用した。
 
「PFOS・PFOA」の濃度が、国が定めた暫定目標値の1リットルあたり50ナノグラムになるよう調整した水を使い、活性炭をろ材とした浄水器の浄水能力を試験した。
 
いずれの浄水器も、10分通水した段階で、ろ過水の「PFOS・PFOA」の含有量が1ナノグラム未満となったことが分かった。除去率は、98%以上だったとしている。
 
その後、100%通水後も、除去率は97.9%と、ほとんど減衰しなかったとしている。
 試験の結果、活性炭をろ材とした浄水器であれば、「PFOS・PFOA」をある程度除去できることが分かったとしている。


8カ月に1回交換推奨


最大手のプレミアムウォーターの展開する浄水型サーバーブランド「Locca(ロッカ)」の卓上サーバー「litta(リッタ)」のカートリッジでは、「PFOS・PFOA」を含む29種類の物質を除去できるとしている。カートリッジのろ材は、不織布、活性炭、中空糸膜の三つだ。1日あたり3.3リットルの水を使用した場合、カートリッジを8カ月に1回交換することを推奨している。
 
富士山の銘水が提供する浄水型サーバーブランド「エブリィフレシャス」では、全ての機種に共通するカートリッジで、「PFOS・PFOA」を含む23物質を除去できるとしている。浄水器協会の規格試験に基づき、総ろ過水量750リットルの水で除去を行ったところ、除去率80%以上の能力を確認したとしている。
 
「エブリィフレシャス」の浄水カートリッジは、不織布、活性炭・ATS、中空糸膜の3層となっている。月間100リットルの水を使用した場合、7カ月半でカートリッジを交換することを推奨している。
 
国内では、「PFOS・PFOA」の暫定目標値を、1リットル当たり50ナノグラムとしている。1ナノグラムは、1ミリグラムの100万分の1だ。
 
米国では、「PFOS・PFOA」の基準値を1リットル当たり4ナノグラムとしており、日本よりも厳格な基準となっている。一方、WHOは、22年に暫定ガイドライン値として、1リットル当たり100ナノグラムを設定した。日本よりも緩やかな基準となっている。

有害性の基準は曖昧

環境省の資料によると、「PFOS・PFOA」をどれくらい摂取すれば、人体に有害な影響があるかに関する調査結果は、まだないという。海外の調査では、ラットを対象にした試験で、1日1キログラム当たり6ミリグラムの含有量の「PFOS」を90日間経口摂取させたところ、半数が死亡したというデータがある。

国内では、「PFOS・PFOA」の暫定目標値を、1リットル当たり50ナノグラムとしている。1ナノグラムは、1ミリグラムの100万分の1だ。

米国では、「PFOS・PFOA」の基準値を1リットル当たり4ナノグラムとしており、日本よりも厳格な基準となっている。一方、WHOは、22年に暫定ガイドライン値として、1リットル当たり100ナノグラムを設定した。日本よりも緩やかな基準となっている。

ろ材の処分も課題


「PFOS・PFOA」は、活性炭をろ材とした浄水器で除去できる。一方で、「PFOS・PFOA」をろ過した浄水カートリッジの廃棄の問題もある。活性炭は、カートリッジの中で、有害物質を吸着させるため、なくなるわけではない。交換した使用済みのカートリッジは、家庭ごみとして廃棄される。廃棄方法は自治体によって異なるが、可燃ごみとして廃棄できる地域もあれば、不燃ごみに分類されるケースもある。
 
浄水器協会によると、「PFOS・PFOA」は、1100度の熱で焼却すれば処理できるという報告もあるという。不燃ごみとして廃棄すれば、埋め立て先で再度露出する危険性もある。
 水宅配を利用すれば、浄水カートリッジの廃棄に関する、ユーザーの心配は不要となりそうだ。

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