再配達率の調査は、ヤマト運輸の「宅急便」、佐川急便の「飛脚宅配便」日本郵便の「ゆうパック、ゆうパケット」が対象。国交省は2017年以降、年2回調査を実施しており、3社が任意で報告した数値を集計した結果を公表している。
2020年10月度の再配達率は、コロナ禍で在宅時間が増えたこともあり、前年同月比3.6ポイント減の11.4%となっていた。しかしそれ以降は、微減・横ばい・微増の範囲での動きが続き、2023年10月度の再配達率は前年同月比0.7ポイント減の11.1%だった。
2023年6月に関係閣僚会議が取りまとめた「物流革新に向けた政策パッケージ」では、「2024年度に不足する可能性のある輸送力を補うため、再配達率が現在の12%から6%へと半減するように緊急的な施策を具体化する」方針を示していた。政府としてはこの方針に基づき対策を加速したとみられるが、2024年10月度の再配達率は前年同月比0.9ポイント減にとどまった。
同調査においては「都市部」「都市部近郊」「地方」での再配達率も発表された。
2024年10月度の「都市部」の再配達率は前年同月比0.5ポイント減の11.6%だった。「都市部近郊」は同1.1ポイント減の9.6%、「地方」は同1・1ポイント減の8.1%となった。「都市部」においては、再配達率がそもそも高く、なかなか減少しないという結果が浮き彫りとなった。
国交省は2024年10月から、「荷主・消費者の行動変容」における施策として、ポイント還元実証事業を開始した。宅配便の再配達率半減に向けて、1配送当たり最大5円を国が補助するとしている。
実証事業は、大手ECモールを中心に行われており、例えばアマゾンでは、1回の配送で荷物を受け取れた場合にポイントを還元するといった取り組みを行っている。物流事業者としては、宅配大手3社が参加している。
「再配達率『半減』を含む再発率削減」という政策目的に対して、国交省は2023年度補正予算で45億円を計上した。
ポイント還元の取り組みは2024年10月に開始されたこともあり、2024年10月度の再配達率の調査には、大きな影響を与えなかった可能性がある。次回の調査は、2025年4月に実施される予定となっている。