楽天グループ(楽天)が2月14日に発表した2024年12月期決算では、国内EC流通総額がマイナスになった。2000年の株式公開以来、初めてのマイナスとなる。株式公開前のデータはないが、1997年の「楽天市場」のサービス開始から右肩上がりの成長を続けていたと考えられることから、創業以来初めてのマイナスと推測できる。
ただ、国内流通総額が前期比マイナスになることは期初の計画通りであり、三木谷浩史社長は「『楽天市場』はより優良顧客にフォーカスしていこうとしている。SPU(スーパーポイントアッププログラム)の改定などがなければ4.6%増だった」と推定する。
「楽天市場」や「楽天トラベル」といった主要サービスにおける流通総額はプラス成長だったという。成長投資ビジネスのブックス、物流、ネットスーパー、C2Cなどはコスト削減などの取り組みにより前年比収益性は改善傾向だという。なお、2025年12月期は、一過性のマイナス要因が解消し、国内EC流通総額においても1桁半ばから後半の成長率になると予測する。
国内EC流通総額は前期比1.5%減の5兆9550億円になった。2023年5月にSPUのルールを改定したり、2023年7月に全国旅行支援が終了した反動があったり、2023年9月にペイメントオンラインを移管した影響により、マイナスに転じた。これらの影響がなければ、同4.6%増の6兆3240億円になったと算出している。
2023年12月にSPUにおいて、「楽天モバイル」の利用者にポイント付与率が上がり、そのほかのサービスでは付与率が下がる改定を実施した。楽天グループとして「楽天モバイル」の特典を厚くすることで、「楽天モバイル」の契約者獲得を加速したい狙いがあった。
そうした取り組みにより、「楽天モバイル」の契約者数は830万回線を突破している。「楽天モバイル」契約者は非契約者と比べて「楽天市場」で約1.5倍流通総額が高いという。2024年の「楽天市場」の流通総額における「楽天モバイル」の契約者の比率は20.2%になっている。
さらに、2024年12月に「楽天市場」において開催した「楽天モバイル」利用者向けのキャンペーン「楽天モバイル最強感謝祭」は好調だった。キャンペーン経由の購買転換数は33万に上り、キャンペーン経由の流通総額は284億円になった。
「楽天モバイル」の成長が今後、「楽天市場」などEC関連サービスの成長をさらにけん引していく兆しが見えている。