同社の真空乳化装置はこれまで、500リットル、400リットル、200リットルの3種類だったという。今年新たに1000リットルを導入し、業務用などを含めた大量生産にも対応できるようになったとしている。「多様なサイズがあることにより、顧客の要望に柔軟に対応できるようになった。最近は、事業開始から急成長し、数年で製造量が数倍になるといった顧客企業も少なくない。そういったケースにも対応しやすくなった」(渋谷太一専務取締役)と話す。
同社は2021年、300リットルの真空練合乳化装置も導入したという。「泥を配合した洗顔フォームなど、通常の真空乳化装置では対応が難しかったものにも対応できるようになった。受注できる企業が少ないニッチな分野にも対応できるのは、当社の強みになっている」(同)と話す。
▲1000リットルの真空乳化装置
同社は2022年に設立60周年を迎えたという。「企業として60年の間、生き残ってきたことが、顧客の信用にもつながっている。対応が難しかった分野への対応や、生産能力の向上は、今後のコストダウンにもつながってくるはず。そういった部分で取引先に還元していけたらと思う」(同)と話す。
労働環境の見直しも
同社ではコロナ禍がきっかけとなり、現場の労働環境の見直しを行っているという。「コロナ禍を経て、役員と現場の相互理解の大切さを改めて感じた。コロナ禍では、現場と役員の忙しさにずれが生じることが増えた。現場が必要だと思っても、売り上げがないから稟議書が通らない。逆に、現場の忙しさが役員に伝わらないこともある。そういった摩擦を解消していくことが、今後必要だと感じている」(同)と言う
「顧客ファーストは大事なことだが、理不尽な要求をする顧客を断る勇気も必要だ。雇用の在り方や、時給や昇給システムの見直しなど、従業員が働きやすい、働きたいと思う環境を整えることが、これから事業を継続する上で重要になってくると考えている」(同)と話している。