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2025.03.10

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【インタビュー】コープデリ生活協同組合連合会 上山精一執行役員、「動画活用やアプリを充実させてウェブ加入に成果」

上山精一氏


関東信越の地域生協が加盟する、コープデリ生活協同組合連合会(本部埼玉県、熊崎伸理事長)は、ウェブプロモーションへの注力で新規組合員の獲得につなげている。ウェブ経由の加入が全体の6割に達するなど、着実に成果が表れている。宅配事業の責任者で、執行役員の上山精一氏に2025年3月期の取り組みと今後の方向性について聞いた。





──2025年3月期の状況について聞きたい。

2025年1月までの(10カ月間)宅配事業における供給高(売上高)は前年同期間比0.1%増の3818億7000万円だった。商品価格が上昇していることもあり、単価や利用人数は予算に達していないのが現状だ。そのため、商品価格が上昇したことによる供給高は確保しているものの、当初の予算に到達していない。

配送員の欠員にも課題がある。地域生協によって異なるが、5~7割の委託職員の確保が難しくなってきており、欠員状態が続いている。

新規組合員の獲得において、1月までの達成率が76.2%と予算に達していないことも、利用人数の低下につながっているようだ。新規組合員の利用定着も大きな課題だ。

イベントやウェブを通じた加入にも力を注いでいる。最近では、郵便局の店頭で案内活動も行っている。人が集まる場所に積極的に出向いて接点を広げている。

個別訪問による営業活動については、さまざまな事件の影響もあり、消費者がドアを開けてくれなくなった。どのように生協の良さを伝えることができるのかが課題だ。ウェブ経由が全体の6割を占めている。その他、イベントと既存の組合員からの紹介を含めると4割ほどになる。イベントでの新規加入には手応えを感じている。

──人材不足への対応策は。

中途採用を強化しているが、どの企業も採用に力を注いでいるので、思うように獲得はできていない。委託先の配送に欠員が出ている場合、組合員への配達が最優先になるので、こちらから応援に入る。配送に手いっぱいのところもあり、配送スタッフが営業にまで手を回すことは少ない。

──ウェブによるプロモーションにも力を注ぐ。

タレントの辻希美さんが運営するユーチューブチャンネル「辻チャンネル」に食材を提供して、PRにつなげている。「デジタルイノベーション推進部」を立ち上げており、ウェブから組合員に加入できる仕組みを提供している。これまではテレビCMだけだったが、動画配信の「ティーバー」でもCMを流している。

──新規加入した組合員に対する利用継続の取り組みについては。

生協の取り組みを週ごとに説明して理解を深めてもらうための、配送担当者による加入後8週間のプログラムを用意している。
 宅配と店舗を利用する組合員への利便性を高める目的で「ほぺたんポータルアプリ」と「お店ナビコープデリアプリ」を統合した総合アプリを今春から始める。組合員活動のデジタル化を目指す。

──「商品deファンづくり」を展開している。

当初は、職員が商品を食べて学んでコープデリのファンになり、組合員とのコミュニケーションを目的に始めた。この取り組みを発展させ、組合員のお気に入り商品を知り合いや友人に渡してもらい、組合員とともにコープデリファンを広げていく取り組みだ。商品の良さやくらしの場面を共感し、組合員と地域担当とのコミニュケーションをさらに豊かにしていきたい。

──配送方法の工夫については。

2024年8月から千葉の北総センターで4勤3休を採用した。5曜日を4曜日に圧縮して配達している。最も遠い銚子まで1時間以上かかるため、4日間にすることで効率を高めるのが目的だ。組合員への配送は日々届くため影響はない。

一定の効果が表れていることから、都市型など対象地域を広げることも検討していきたい。

──2025年4月以降の方向性について。

首都圏のコープみらいについては、新たに「営業部」を立ち上げる。これまで営業職員は配送センター所属だった。

運営部に所属してもらうことで、教育・研修体制の強化につなげる。これまではセンターで欠員があった場合、営業職員に配達を依頼していた。リーダーなど役職者は配達というよりも、本来のマネジメントに専念できるようにしたい。

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