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2025.03.19

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【食品通販・食品宅配 インタビュー】 <ネットスーパー> ONIGO 梅下直也社長、イトーヨーカ堂 新デリバリープロジェクト プロジェクトリーダー 望月洋志氏、「共同事業開始で規模拡大目指す」

梅下直也社長(写真右)、望月洋志氏


イトーヨーカ堂は2月14日、イトーヨーカドー全93店舗で、注文から最短40分で届ける店舗出荷型の「イトーヨーカドーネットスーパー by ONIGO」を、クイックコマースを手掛けるONIGO(本社東京都、梅下直也社長)と共同で開始した。クイックコマースの仕組みを活用してサービス品質の向上を目指し、将来的に売上高500億円の規模拡大を目指す。イトーヨーカ堂・新デリバリープロジェクトの望月洋志プロジェクトリーダーと、ONIGOの梅下直也社長に話を聞いた。





──イトーヨーカ堂はこれまでもネットスーパーを手掛けてきたが、今回のサービスとの違いは。

望月:従来は店舗出荷型のネットスーパーを展開してきたが、2023年夏から神奈川県横浜市に配送センターを開設し、センター型「ハブ&スポーク」のネットスーパーを始めた。

物流面での固定費に課題があり、継続するためには違うやり方を検討する必要があった。今回、ONIGOと共同で事業を行うことで、センター型ではできなかった総菜の取り扱いもできるようになる。苦渋の決断だったが、従来型の事業から切り替える判断をした。

梅下:2022年から行ったさまざまな実証実験を経て、店舗の商品を最短20分で配送するクイックコマースを展開している。対応店舗数を順次拡大してきた。

従来のネットスーパーとは異なる即時ニーズに対応しており、今回の話をいただいたときから非常にスムーズに進んだ。

望月: クイックコマースと計画購買を一緒に行うのか、別のサービスで展開すればいいのかをONIGOと議論していく中で、今回のサービスに至った。

梅下: お客さまには、「イトーヨーカ堂のネットスーパー」というブランドへの信頼感と、これまで利用していた安心感がある。従来型の「ONIGO」のサービスとネットスーパーアプリは併存する形になるが、実際はサービス統合するイメージになる。

──ネットスーパーはすぐに配送枠が埋まってしまうという課題がある。これについての対応は。

望月: 従来のセンター型では、当日の朝までの注文で配送枠が空いていれば当日の夕方に配送していた。店舗出荷型は最短で4時間ほどだった。

新しいサービスは標準的な利用で最短70分、220円を負担すれば最短40分で届ける。また、1時間単位での配送時間指定が可能になり、お客さまの待ち時間を短縮できる。当日だけではなく、翌日、翌々日までの指定も可能だ。

ONIGOとの融合により、例えば自動車の枠が足りない場合に、ONIGOのライダーも活用できる。

──商品ピックアップの仕組みは。

梅下: 「マルチピック&パック」と呼んでいるが、特殊なカートを開発し、店舗内の商品を一度に3件分、ピックアップする。店舗が広いため1件ずつピックアップすると時間がかかってしまう。バックヤードでの作業はほとんどなく、店舗内の作業で解決できる。1時間ごとに注文時間を区切ってピックアップするというイメージだ。

ピックアップするのは、イトーヨーカ堂のスタッフではなく、ONIGOのスタッフだ。お客さまの自宅までの配送については、業務委託する配送会社が担うことで分業し、配送管理はONIGOが担う。

──商品やサービス面における他社との差別化について。

望月: クイックコマースは商品数の多い買い物が難しい。今回のサービスは、2輪や自動車便でも対応するため、いつも通りのネットスーパーの買い物がより早くなった。今後検討していく医薬品も、今回の仕組みだからこそできる。

梅下: さまざまなネットスーパーやクイックコマースがある中、イトーヨーカ堂の取扱商品数やセブンプレミアムなど他社では購入できない商品なども大きな強みだ。

望月: お客さまが抱えている買い物へのハードルに対して、送料をいただく代わりに課題解決するという視点でサービス設計をした。

──法人や施設向けにも対象を広げる計画だ。

望月: 例えば保育園のおやつなど、既存のネットスーパーでも需要がある。自動車でも対応して大口のお客さまの急な需要にも対応していきたい。

梅下: ネットスーパーのピーク時は朝と夕方で、昼間の時間帯が空いてしまう。人員確保の観点から、昼時間帯に法人向けの需要を獲得することで、安定した人員確保にもつなげていきたい。

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