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2025.03.19

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【食品通販インタビュー】 ヤッホーブルーイング モールECユニット ユニットディレクター 植野浩樹氏、「『ぞっこん度』高める取り組みを」

植野浩樹氏


ヤッホーブルーイング(本社長野県、井手直行社長)は、「よなよなエール」などのクラフトビールの製造・販売を行っている。EC事業の売り上げは右肩上がりで成長しているという。日本のクラフトビールマーケットをけん引する同社のモールECユニット ユニットディレクターの植野浩樹氏に話を聞いた。






──御社のEC事業の業績について聞きたい。

EC事業売り上げ全体は右肩上がりで成長している。

成長の要因としては、ECモールの観点で見ると、「楽天市場」「アマゾン」などの主要なECモールプラットフォームにしっかり出店できていることが挙げられる。近年はソーシャルギフト市場の拡大が目覚ましい。最近では「LINEギフト」が大きく伸長している。

何より、お客さまに支えていただいているおかげで成長できていると考えている。当社は、ECの販促による短期の売り上げだけではなく、「中長期的なお客さまとの関係性」を大切にしている。

お客さまのブランドロイヤリティーを定量的に測るために、「ぞっこん度」という指標を設けている。アンケートを行い、「ぞっこん度」の違いによって、お客さまの気持ちをより深く知ることができるように取り組んでいる。

要所要所でインタビューなど、お客さまのお声を積極的に聞くようにしている。

──公式自社ECとECモールでは、位置づけや客層がどのように異なるか?

よなよなエール公式ウェブサイト「よなよなの里」は、リピーターのお客さまが多い。スーパー・コンビニ・飲食店など、普段オフラインで当社のビールを飲んでいる人が、公式ECに来店するというケースも多い。ブランド名などの指名検索による流入が目立つ。

ECモールは、新しいお客さまとの接点になっている。自社サイトに比べ、新規顧客が多い傾向がある。「ビール」「クラフトビール」といったワード検索をきっかけに、購入していだくことが多い。

ECモールについては、自社サイトに比べて、ウェブ上での入り口を増やすという役割がより強い傾向がある。

──ECモールで人気の商品を教えてほしい。

入口商品である「クラフトビールはじめてセット」が人気だ。

ギフト商品としての購入も多い。「飲み比べ」「ECでしか買えない」という要素が好評なようだ。ECモールでは、「ビール ギフト」といった検索流入から、購入につながっている。最近では「LINEギフト」において、誕生日の贈り物として選ばれることが大変多い。

──顧客とのコミュニケーションで大切にしていることについて聞きたい。

まず、私たちのことをより知っていただくため、冊子やチラシなど、商品の同梱物には力を入れている。同梱物は、基本的に商品によって変えている。クラフトビールの説明や、ビールに合うおつまみの紹介、造り手である会社の思いなどを伝えるようにしている。

メルマガでのコミュニケーションも大切にしている。商品のアピールだけでなく、お客さまに対して、今行っている活動や思いなどを伝えている。商品に関係のない、書き手の近況をつづる部分もある。最低でも週1回以上は送付するようにしている。

メルマガからの購入も多い。新商品をリリースした際には、メルマガでの案内を行った。販売を開始したばかりの商品が、メルマガからの流入・購入によって、楽天市場のリアルタイムランキングで1位を獲得したこともあった。

それを狙っているというより、日頃からコミュニケーションを取って関係性を作ることを大切にしており、結果的に購入にもつながっていると考えている。

──2025年の展望は。

日本全体の消費が冷え込んでいる中で、嗜好(しこう)品であり比較的価格の高いクラフトビールには、マーケット的に逆風が吹いていると言えるだろう。

そのため、今後はますます、お客さまとの関係性が重要になっていくと考えている。お客さまに、より楽しんでいただけるような体験を提供し、さらにお客さまの「ぞっこん度」を高められるように取り組んでいきたい。

ECでしか楽しめないイベントを積極的に展開していきたいと考えている。

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