女性誌で最多の販売部数を誇る雑誌「ハルメク」を発行するハルメク(本社東京都、宮澤孝夫社長)はコロナ禍を経て、顧客層が二極化してきているという。物販ビジネスユニット カテゴリーマネジメント本部 食品マネジメント課課長の橋本幸恵氏は、「二極化してきたが、決して高いから購入しないというわけではない」と注意点を話す。橋本課長に現在の状況や2024年のヒット商品、今後の展望などについて聞いた。
──貴社にとっての食品ジャンルの位置付けは。当社のお客さまはご年配の方になっており、多くのお客さまは商品やサービスで悩みを解消したいと思っていることが多い。
だが、食品のジャンルはそうではなく、「今の旬ならでは楽しみを感じたい」という楽しみの一つとして、商品を購入する人が多いと思っている。
──どのような食品だと顧客は購入したくなるのか。やはり、「ハルメク」のページを見て、「これを購入したい」と思ってもらえないと、食品はいけないと思っている。そのため、文字ではなく、いかに写真で惹きつけて、興味を持ってもらえるかが重要になってくる。
──食品はどのように仕入れているのか。当社の物販ビジネスユニット 商品開発統括部 食品開発課が食品における情報収集を行い、商品を仕入れている。新しい食品においては、展示会などにも足を運び、常に新鮮な情報をインプットしている。
──貴社はプライベートブランド(PB)も展開していると思う。PBにおいては、どのように情報収集して、商品開発しているのか。「ハルメク」という雑誌の読者がいるため、読者への電話取材やアンケートなどを通じて、商品の開発を進めている。トレンドは変化するが、その中で生活者の実態に合わせて、商品開発を行っていく。
看板商品である「おせち」においても、トレンドと当社のお客さまの求めているものが一致しないこともある。そのため、しっかりとお客さまに合わせて商品を開発していくことが重要だと考えている。
──2023年と2024年で食品ジャンルで変化したことは何か。コロナ禍が明けてから、お客さまの販売価格に対する感覚はシビアになっている印象を持っている。安い商品と高い商品の二極化が進んでいる。だが、誤解してほしくないのだが、必ずしも商品が高いからといって買わないわけではない。
実際に”旬”を感じられる生鮮食品は、当社のお客さまからも支持を集めている。年々、購入するお客さまの人数は増えており、値段に見合った商品はきちんと購入していただける。
だが、一方で普通の食品は何点も購入していただくことは難しいため、当社として購入点数が伸び悩んでいる。その結果、当社としては品ぞろえの拡充に注力し、購入の選択肢を広げている。
──2024年のヒット商品について伺いたい。冷凍食品を購入するお客さまは多い。実際に「ハルメク」で展開している企画「冷凍セレクトのよりどり3品」は好評を集めている。この商品は数種類の冷凍食品から自分好みの冷凍食品を3品選んで購入することができる。少しずつ好みの冷凍食品を選べる点にメリットを感じているお客さまが多い。これぞまさに「高くても良いものを買いたい」という傾向を表している。
商品ラインアップも毎月変更しており、新鮮さを提供している。3月号から値段を5990円に値上げしており、お客さまの動向が気になるところだ。
直近では、「ハルメク」の商品をお得に購入できる感謝市を実施している。実際に目玉商品の動きは良い。当社のPBである「ハルメク 柚子の里だより」は、多くのお客さまから購入していただいている。2本で〇%オフのような訴求を実施し、購入促進を図った。
外部環境を見ると、コロナ禍が明け、人と人が会う機会が増えている。贈答のニーズが高まっていると捉えており、「ハルメク」でも「贈答商品としていかがですか」という訴求を行い、購入につなげている。
──今後の食品における展望は。これまで「ハルメク」では、単発の商品展開が多かったが、今後は生活接点が多い商品を開発していく計画だ。