大阪ガスは、2023年9月にサービスを開始した冷蔵総菜のサブスクリプションEC「FitDish(フィットディッシュ)」が、2025年1月末現在で累計88万パックを出荷するなど堅調に推移している。エナジーソリューション事業部の藤田敦史氏に事業展開について聞いた。
──「フィットディッシュ」が2年目を迎えた。「フィットディッシュ」は、診断機能でユーザーごとにパーソナライズした冷蔵パウチ型のメニューを月1回届けるサブスクリプションサービスだ。保存料や着色料を使用せず、約1カ月間保存できるようにしている。
継続して利用をいただくための改善についてコツコツと取り組んできた。サービス開始時に40種類だった取扱商品は、増量や改善のケースも含めて70種類に増えた。地域の食材や郷土料理、あまり食べる機会の少ないメニューなどを増やしてきた。
サービスの特徴の一つである家族構成や食の好み、アレルギーに関する「おまかせ診断」についても細かなロジックの調整を続けてきた。
会員数については幅を持たせて計画を立てていたが、最近は上向きで推移しており、1月末現在で累計88万パックを出荷している。
──どのような世代に利用されているのか。仕事や家事、育児が忙しく夕食の準備が負担になっている共働き世帯のほか、単身世帯がコアターゲットだが、30代から60代、70代まで幅広い年代に利用いただいているのはうれしい誤算だった。首都圏の利用者が最も多く、次いで関西と都市部が多い。新規顧客獲得の流入経路は、基本的にウェブ広告のみで、自然検索で登録するケースも一部ある。
60代以上になるとウェブ以外の媒体も有効になる。年齢層が均等に分かれているため、今後のプロモーションに工夫していかなければならない。
──どのようなニーズで利用されているのか。50~60代の場合は大きな差はないが、単身世帯が利用しているケースもある。家族で食卓を囲むというフェーズが終わった2人世帯によるニーズがある。冷蔵の食品が常に冷蔵庫にあるというサービスはあまりない体験のため、これを訴求している。
一般家庭の冷凍庫がいっぱいで、さらに家族分を温めるのに時間がかかるなどの課題はある。冷凍食品の宅食サービスがさまざま出ているが、冷蔵についてはそれほど多くはなく、選んでいただいている。
月平均15~16パックの利用が中心で、日々利用するというよりは、買い物に行くことができないときのために冷蔵庫に保存している人が多いようだ。リピート購入については、思っていたよりも多い印象だ。
──新規顧客との接点づくりについては。引っ越しなど「新生活応援プラン」の中に、電気に加入いただく際の特典として「フィットディッシュ」8パック(約4000円相当)を24年10月からプレゼントしている。
企業からは、従業員向けの健康経営や福利厚生の一環として「置き型社食」として利用したいという声も寄せられるようになった。こうしたサービスを作っているわけではないが、当社としては企業向けに広がることで、安定した食数の確保につながるとみている。
別の企業では、「持ち帰り社食」のようなニーズがある。社員が帰宅後に食材を調理する時間がないため、帰り際に当社の商品を持ち帰って利用できないかというものだ。こうした案件をきっかけに、必要なスキームを作って提供できるかを検討していきたい。
──今後、どのような顧客層を取り込んでいくのか。健康意識の高い50代以上のほか、主菜だけ、副菜だけが欲しいというニーズもくみ取った上でサービスを幅広くフィットさせていきたい。