【食品通販・食品宅配インタビュー】 <食品宅配> SL Creations 佐藤健社長、「2025年は安定した経営の復活を目指す」

食品宅配のSL Creations（エスエル・クリエーションズ、本社東京都、佐藤健社長）は、安定した経営の復活を目指すことを今年の方針に掲げている。業績が好調な常備型社食サービス「Office Premium Frozen（オフィスプレミアムフローズン）」をはじめ、高級ライン「Z’sMENU（ジーズメニュー）」の販路も拡大する。佐藤健社長に2025年の事業戦略について話を聞いた。

──2024年度（2024年1-12月）の業績について。

グループ総売上高が3年ぶりに増収した。昨年30周年を迎えた「シュガーレディ化粧品」において、記念商品や新商品の販売が好調だった。これに加え、常備型社食サービス「オフィスプレミアムフローズン」（OPF）が好調で、食品宅配（BtoC事業）の減収を補った格好だ。

原材料の高騰などで利益構造が大きく変化している中、ここ数年は経費の削減に取り組んできた。一方で、経費削減にも限度があり、売り上げを上げていくことが重要になっている。昨年は販売会社や支店に合わせた目標設定を行ってきた。

11月までのグループ売り上げが前年をクリアしていた。年末商戦は前年実績の98.6％だったものの、顧客単価の高いおせちの販売がコロナ禍を除くと13年ぶりに前年を超えたことで前年をクリアすることができた。

──新規顧客の開拓については。

新規顧客開拓の手段である無料試食会の開催回数は前年と比べて減少した。コロナ禍を境に開催回数が減少傾向にあり、再開を呼び掛けているが社会の変化もあり増えていないのが現状だ。

一方で、既存の販売員のなかには、新たな取り組みとして、夕方から夜の時間帯に無料試食会を開催している。昼時間帯に就業している人が多くなり、試食会を開催することが難しくなっている。夜時間帯に開催することで参加しやすくなるほか、注文を取ってから帰ることができることで生産性が向上したケースもあるようだ。試食会の内容をそれほど変えずに、新たな顧客接点づくりにチャレンジしているチームも出てきている。

2025年は、企業でOPFを利用している人の10人に一人が食品宅配でも利用してもらえるように積極的に利用を促したい。

少人数の有料の料理教室の開催も検討している。仙台の実店舗で開催して実績のある少人数の有料の料理教室を、既存の販売員組織でも開催して接点を広げたい。

──OPF事業の好調要因は。

社内の離職を防ぐことを目的に福利厚生への関心が高まっているほか、健康経営に対する意識も変わってきている。導入企業からの紹介が増えているほか、既存の販売員からの紹介も増えた。さらには、三井住友海上が提供する「補償前後のソリューション」のラインナップの一つに加わったほか、トヨタエンタプライズなどと提携が進んだことで、25年は累計2700社の導入を目指す。

コロナ禍を境に大手企業でも社食を廃止する動きがあり、置き型社食サービスに対する認知も高まった。競合他社と比べてコスト面やサービス面で優位に提案ができている。

2025年から全国の販売会社を中心に、OPF専任の部署の設置を進める。OPF専任者は、既存顧客のフォローのほか、販売員から紹介先を募り、本社に問い合わせがあった案件の商談を行う。

企業への配送は自社配送エリアでは既存の販売員が担っている。その分の売り上げも加算されるため、販売員の収入の増加に貢献し、離職防止にもつながっている。

男性の販売員「SLパートナー」は約70人在籍している。その多くはOPFの配送を担っている。

──商品戦略については。

高級冷凍食品シリーズ「ジーズメニュー」は毎月1品を発売することで、有力な取引先である百貨店への卸売りも強化していく。地方都市に住む百貨店の外商顧客に対する催事をきっかけに顧客になる人も増えている。ジーズメニューのサブスクを3コースに増やし、メインカタログのほかに、新規顧客向けの簡易的なカタログの制作を進める。

既存商品のパッケージデザインを順次刷新するほか、ブランド名を混じり気がなく、確かなものという意味を込めて「Pure＆Sure（ピュアアンドシュア）」とした。

冷凍総菜シリーズの「Wise days（ワイズ・デイズ）」では、ごはん付きの弁当タイプの商品を投入する。糖質コントロールシリーズ「Remake BODY（リメイク・ボディ）」で、パスタやオムライスの販売を始める。糖質に加えて、タンパク質や食物繊維などを意識した商品を発売する。

今後は、魚や加工品、スイーツ、ミールキットなどの定期購入も視野に入れていきたい。