本紙がこのほど行った、「2025年版 通販健康食品売上高調査」では、健康食品を中心に扱う通販会社に対して、「増収や減収の要因」について聞いた。
減収となった企業からは、「新規顧客獲得数が減少した」「リピート率が低下した」といった声が聞かれた。
紅麹問題によって生じた、健康食品・機能性表示食品への懸念から、買い控えが起こり、業績に悪影響があった企業も見受けられた。
前年度(2024年版)の通販健康食品売上高ランキングでは、前年と比較可能な27社の実質成長率は、1.1%のプラス成長だった。今回の調査では実質成長率が、1.1%減となり、減収トレンドに転じた。
過去5年を振り返ると、集計期間がコロナ禍の混乱のただ中となった2020年(20年1~12月の間に決算期を迎えた売上高)以来のマイナスとなった。
逆境の中2桁成長
一方、逆境の中、成長を遂げた企業もある。新日本製薬では、2024年9月期の健康食品通販売上高が、前期比35%増の57億5500万円となった。同社のヘルスケア事業の主力商品である機能性表示食品「Wの健康青汁」が好調だったとしている。2024年9月期の新規顧客件数は前年同期比10.3%増と、順調に増加しているという。今期(2025年9月期)も同製品で得たマーケティングの知見を他の健康食品商材に横展開し、高い成長率を維持し続けているようだ。
プロテインなどのEC・OEM事業などを展開する武内製薬(本社東京都)も好調で、2025年3月期の売上高は前期比約18%増となった。
高~中価格帯の健康食品・化粧品を展開するアクシージアは、2024年7月期の売り上げが大きく伸びたが、同社の場合、中国ECの売り上げが占める割合が大きい。中国市場の健康志向の高まりから、健康食品が大きく伸びたという。
紅麹問題が収束した2025年の日本市場は、再びプラス成長に転じることが期待される。ただ、紅麹問題のような不測の事態に足元をすくわれないためには、海外展開や卸など、事業の多角化を図ることも検討の余地はありそうだ。

<調査方法>
▽「健康食品通販売上高ランキング」は、全国の通販企業を対象に調査を実施した。2025年2~3月に、調査票を送付し回収。本紙取材データなどから算出した売上高も加え、独自にランキングを作成した。▽調査対象は、2024年1~12月の間に決算期を迎えた売上高実績。健康食品だけを取り扱う専業企業は全社売上高を、他の商品ジャンルも取り扱う兼業企業は健康食品部門の売上高を掲載した。一部の兼業企業は健康食品以外の商材の売上高を含む場合もある。
▽健康食品の対象範囲は、企業ごとに定義が異なる場合がある。
▽通販企業を対象にしているが、通販チャネル以外の「直営店」「卸売販売」「原料販売」などの売り上げを含む企業もある。
表の見方
▽売上高が非公開の場合は、周辺取材や決算公告などをもとに推定した数字を用いた。▽売上高は100万円単位で掲載、100万円未満は切り捨てた。増減率は小数点第2位を四捨五入した。
▽「健食売上構成比」とは、通販全体の売上高に占める健康食品売上高の割合。主力商品は、売れ筋商品のアンケート結果や本紙取材をもとに、独自に選出した。
※は推定。◎を付けた企業の注記は以下の通り。
▽世田谷自然食品=化粧品、食品を含む売上高。
▽アクシージア=中国EC、化粧品を含む全体の売上高。
▽ユーグレナ=2024年12月期におけるユーグレナ、エポラ、MEJの健康食品の売上高を推定
▽武内製薬=ECとOEM含む売上高。
▽ヴェントゥーノ=化粧品を含めた全社売上高の推定値。
▽エーエフシー=化粧品通販を含む売上高を推定